駐輪場も爆増 シェアサイクル人気で自転車は「買う」から「借りる」になるのか

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シェアサイクルが普及した現在、自転車は借りるものに変わりつつある。シェアサイクルの実施都市数は54都市から164都市まで増加している。導入目的は「観光戦略の推進のため」が最も多い。

緊急時にも活躍

街なかのシェアサイクル(画像:写真AC)
街なかのシェアサイクル(画像:写真AC)

 2021年10月7日の夜、東京23区で震度5強の地震があった。東日本大震災以来の大きな地震で、すでに暗くなっていた時間帯ということもあり、人々に恐怖を与えた。すでに帰宅していた人やコロナ禍でリモートワークをしていた人も多かったとはいえ、「帰宅困難者」が発生した。

 地震後、都心のシェアサイクルのポートが軒並み空になり、住宅地のポートには多くの自転車が集まることとなった。銀座周辺で借りて、豊洲・勝どきあたりに帰る人が多かったと推測される。

 シェアサイクルが普及した現在、自転車は買うものではなく、借りるものに変わりつつあるのかもしれない。自転車産業振興協会の2022年1月の月報によれば、自転車の販売台数は日本の各地域で、前年同月比、前月比ともに下がっている。1店舗あたりの新車販売台数は9.2台。スポーツ車や電動アシスト車がそれぞれ2割近く売れている。

 1年で最も売り上げが悪い1月の統計だが、

・春に向けて通学用自転車の需要が高まる
・運転免許証返納により高齢消費者の購入が増加

などの報告もある。

 経済産業省「電動アシスト車が牽引、堅調な自転車産業」によれば、自転車業界は堅調に推移しており、公共交通機関の利用を避けたいコロナ禍ではさらに利用が促進している。

 シェアサイクルが普及しても、学生や高齢者など、自分の自転車を持ちたい人はこれからもいるだろう。また、シェアサイクルやデリバリーサービスの増加によって、自転車の需要そのものは増えている。

 晴れた日のちょっとした遠出にぴったりな自転車。シェアサイクルの今後を見据えつつ、楽しみながら便利に乗りこなしたいものだ。

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