訪日客が癒される日本の「平和ボケ」 これは新たな観光資源なのかもしれない【リレー連載】平和産業としての令和観光論(8)
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日本の“平和ボケ”は観光資源ではないのか。オリンピックをきっかけに、訪日客は平和で穏やかな時間を求めるようになった。特に「何もしない系旅」は、静かで癒やしの体験を提供し、地域経済にも貢献している。平和な環境は文化交流や国際理解を促進する重要な要素だ。
“何もしない旅”の魅力

日本での旅は、忙しく観光地を巡るよりも、のんびりと滞在し温泉やグルメを楽しむ方が適している。実際、リゾート型の滞在は日本では伝統的に広く楽しまれており、温泉宿のような“何もしない系旅”はむしろメジャーといえるだろう。
温泉宿や民宿だけでなく、日本には保養所、青年の家、宿坊、断食道場など、リラックスとレクリエーションを提供する場所がたくさんある。現代社会では、情報や仕事に追われる生活を送る人が多いため、一定期間スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスから離れるデジタルデトックスツアーも人気だ。
何もしないで過ごす時間は、忙しい日常から解放され、心と体をリフレッシュさせる絶好の機会になる。また、このような旅のスタイルは平和ボケを体感するうえでも適した手段だろう。
オリンピックの選手村の話題で思い出すのは、筆者(仲田しんじ、研究論文ウォッチャー)の高校時代の運動部の夏合宿だ。詳しい記憶は定かではないが、陸上部員として群馬県や千葉県の合宿施設に約一週間滞在していた。
もちろん、練習は午前中からそれなりにハードに行われていたが、グラウンドへの移動時間がないため、意外と自由時間も多かった。夜には読書にふけったりして、振り返ると充実した日々だった。
合宿中には半日オフの日もあったように記憶しているが、その日はまさに“何もしない系旅”を楽しんでいるようなもので、水泳や卓球など別の競技を楽しみながら気ままに過ごした。そして夜空を見上げると、都会では見ることのない澄んだにぎやかな星空に心が躍ったものだ。