“神戸ブランド”はこのまま失墜か?復権か? 全く止まらぬ人口減少、神戸市が挑む再生計画の吉凶とは
神戸市の魅力を高める「リノベーション神戸」が進展してきた。人口減少が続くなかで、“神戸ブランド”の復活は実現できるのだろうか。
あえて郊外の再生に挑戦

多くの政令市が利便性の高い都心部に
「タワーマンション」
を誘致して人口を増やしている。大阪市の人口増加は北区や西区、中央区に相次いで建設されたタワマン効果が大きい。首都圏の駅前再開発では低層階に商業施設を入れたタワマンが定番になりつつある。
しかし、神戸市は2020年、市中心部のタワマン抑制に向けた土地利用規制の関連条例を施行し、三宮地区で新たな住宅建設を原則禁止とした。郊外を再生して人を集めるためで、久元喜造市長は2024年5月の記者会見で
「タワマンが市中心部に建設されると、都市のスポンジ化(都市規模は変わらないのに、人口減少で使われていない空間が徐々に増え、都市内の密度が低下していくこと)などの問題が深刻化する懸念がある」
とあらためて否定的な見解を示している。
だが、東京都や大阪府もニュータウンの再生に苦労している。タワマンは入居があればすぐに人口増加となるが、街のリニューアルが効果を発揮するには時間がかかる。人口統計を見る限り、リノベーション神戸の効果はまだ出ていない。
かつて地方から関西へ出てきた若者は
・京都の大学で学び
・大阪の企業に就職したあと
・神戸にマイホームを建てる
のが夢だった。しかし、時代は大きく変わり、若者の思いが変化している。“神戸ブランド”があったことさえ知らない若者も少なくない。郊外の再生という難事業にあえて着手した神戸市の選択は吉と出るか、凶と出るのか。