日本の「乗り物ファン」と南太平洋の意外な共通点? 飛行機・船を“信仰対象”とする「カーゴ・カルト」をご存じか

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メラネシアの「カーゴ・カルト」は、近代的な乗り物を神聖視する宗教的信仰。信者たちは儀式を通じて超自然的な力で「カーゴ」を得ようとし、現代の乗り物ファンの熱狂と共通点が見られる。これらの行動は、異文化接触による普遍的な反応と解釈できる

メラネシアの信仰世界

Kenelm Burridge『Mambu A Melanesian Millennium』(画像:Methuen)
Kenelm Burridge『Mambu A Melanesian Millennium』(画像:Methuen)

 オーストラリアの北東部、太平洋南西部の島々から成るメラネシアには「カーゴ・カルト」と呼ばれる独特の信仰がある。特定の宗教を指す言葉ではなく、20世紀にメラネシアの各地で生まれた宗教運動の総称である。

 特徴は、

「飛行機や船といった近代的な乗り物」

が宗教的信仰の対象になっていることで、非常に興味深い。

 人類学者ケネルム・バリッジの著書『Mambu: A Melanesian Millennium』(1960年)によれば、カーゴ・カルトの信者は欧州の日用品を手に入れるためにさまざまな儀式を行う。彼らが求めるのは、

・ナイフ
・斧
・アスピリン
・食器
・化粧品
・武器
・衣類

などの「百貨店にあるような商品」である。それらはピジン英語(英語と現地語の混合語)で

「カーゴ」

と呼ばれる。信者は品物を受け取るために装飾された建物を建て、木や樹皮で飛行機や船の模型を作る。儀式の間、人々は興奮し、踊り、大声で歌い、口から泡を吹き、時には乱交に及ぶ。

 これらの儀式は、「自分たちの望むカーゴを、商人や交易からではなく、想像上でのことではあるが、製造や分配に責があるとされている、神秘的な源泉から直接に獲得しようとする試み」とバリッジは説明している。

 つまり、信者たちは通常の商取引ではなく、超自然的な力によってカーゴを手に入れようとするのだ。カーゴの製造と分配をコントロールする神秘的な存在を想定し、その存在と直接交流を取ろうとしている。

 また、信者は「あらゆる製品はすべての者に分配されるよう意図されていたのだが、強欲な白人たちは、さまざまな方法を駆使して、カーゴを「その途上」で奪い取り、自分たちの利益のためだけにカーゴを保持して」いると考えているという。

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