EV失速、ハイブリッド絶好調! グローバル投資家の「トヨタ」を見る目が変わった根本理由

キーワード :
,
アナリストのなかには、トヨタの勢いある株価上昇に違和感を覚える者もいる。円安の追い風を受け、今期の業績は「やや出来すぎ」と考えられているからだ。

EVに対する消費者の信頼もやや低下

テスラCEOのイーロン・マスク(画像:AFP=時事)
テスラCEOのイーロン・マスク(画像:AFP=時事)

 EVの過大評価へ修正が入ったのは、株式市場だけではなかった。消費者からの評価にも、少し修正が入った。テスラ車を例に考える。テスラ車の魅力として、次の3点がある。その魅力は変わらない。

●強大なトルクを瞬時に出す、スタートダッシュが痛快
 テスラ車に乗った人が最初に感じるのは、スポーツカー並みの加速のよさだ。テスラにかかわらずEV全般のメリットとして、走りだしからギアチェンジ不要で最大トルクが出せることがある。

●大きなパネルに操作機能を集約
 コックピットがすっきり。オートパイロット(半自動運転)を使うことで、自動運転への道筋を感じることができる。

●走行安定性に優れる
 スムーズな走りで乗り心地よい

 一方、テスラ車の問題も、再認識されるようになってきた。

●高額、急な値下がり
 2023年以降、頻繁に値下げをしてきたものの、まだガソリン車、HVに比べて、高額であることは否めない。値下げはテスラ車の一段の普及に必須とはいえ、値下げが続いていること自体が、買い控えを生じている面もある。頻繁な値下げで中古車価格も下がるため、買いは待った方がよいという感覚につながる。

●充電時間が長い 充電インフラがまだ十分ではない
 テスラにかかわらずEV全体の問題として、充電時間が長いことがある。急速充電でも20~30分くらい必要だと、忙しい日中には苦労が多い。充電インフラがまだ十分に整っていない上に、1台当たりの充電時間が長いと、充電ステーションの順番待ちにも時間を取られることがある。こうした欠点を補うものとして、プラグインハイブリッド車(PHV)を見直す向きもある。

●極寒に弱い ヒーターを使うと電費が著しく低下する
 2024年厳寒の北米で、テスラ車が充電できないまま急速充電ステーション近くで大量に乗り捨てられる問題が起こった。寒冷地では、電池をヒーターで温めないと充電性能が落ちる。テスラ車は、充電前にヒーターを適温まで温めるプレコンディショニング機能があるが、それが十分に生かしきれなかった。充電の待ち時間が長く、ヒーターに電気を取られて動けなくなったテスラ車が出た。

 ヒーターを適切に使用すれば寒冷地でもEVは問題なく使用できるが、まだ極寒での利用に慣れていないオーナーが多かったことが、問題につながった。EVの問題として、寒冷地ではヒーターを使う必要があるために、電費(電気1kWhあたりの走行距離)が著しく低下することが挙げられる。EVの強みが、寒冷地では逆に弱みとなっている。

 電気モーターとエンジン(内燃機関)を比較すると、モーターはエネルギー変換効率の高さで内燃機関を上回る。無駄な熱や音を出さない分、動力エネルギーへの変換効率が高い。一方、内燃機関では、熱や音で失われるエネルギーが大きい。ところが、寒冷地では、熱が出ることが逆に有利に働く。内燃機関から出る熱の一部は、車内暖房などに使われる。またボンネットが熱を持つので、ボンネットに雪が付着しにくく、運転者の視界が守られる。

 一方、EVは、走行用の電気を使ってヒーターを働かせる必要が出る。エンジンのような排熱がないのでボンネットに雪が付着しやすい。また、センサーに雪が付着するとオートパイロットが機能しなくなる問題もある。

全てのコメントを見る