日本の空なのに自由に飛べない 米軍に支配された「横田空域」という国家病理

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首都圏を中心とした関東甲信越地方に広がる米軍管理空域「横田空域」。その目的は何なのか。

日本の空を取り戻せ

日本国旗と米国旗(画像:写真AC)
日本国旗と米国旗(画像:写真AC)

 つまり、米軍が訓練目的で広大な空域を持っているというわけではない。本当の目的は、兵站基地の維持なのだ。横田基地は極東における米軍の主要基地であり、日米軍司令部および米第5空軍司令部が置かれている。

 極東各地に展開する米軍の兵站は横田基地が担っている。円滑な兵站輸送を確保するためにも、同基地は管制権を手放すわけにはいかない。“世界の警察官”を自認する米国からすれば、極東の安全を保障するために領空を占有するのは当然のことである。

 しかし、広大な空域の存在は、日本の航空路にとって大きな障害となってきた。その結果、幾度かにわたって空域の一部が日本に返還されてきた。

 近年で最も大きな変化は、2019年に羽田空港の進入路が見直されたことだ。この協議では、米軍が日本側の要求を受け入れ、日本側が制空権を握る形で横田空域を通る新ルートが実現した。とはいえ、横田空域が存在しなければ、さらに自由な飛行経路を設定できることも事実である。事実上、日本側が米国の世界戦略の負担を強いられていることは否定できない。

 この横田空域の撤廃に最も踏み切ったのが、東京都知事だった石原慎太郎である。石原氏は2003(平成15)年の都知事選で、横田基地の民間機への開放を公約に掲げた(軍民共用化)。これに先立ち、石原氏は2001年の都議会でも

「軍民共用の実現と、横田空域及び管制権の返還を国に働きかけてまいります」

と述べている。

 政治的立場がどうであれ、外国の軍隊が自国の首都上空を占領するのは

「異常」

なことだ。戦後70年が経過し、日本が米国の戦略に付き合わされるいわれはない。

 日本人は米国のよい部分だけを見たがり、アジア諸国の悪い部分だけを見たがる。横田空域を取り戻さない限り、日本の戦後も、こうした考えも終わらないだろう。

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