急速に進化するAI世界 「人間の出番」が不要になるのは結局いつなのか?

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日々進化し洗練されてゆくIT技術。モビリティ業界でもその利用が増え続けている。仕分けのオートメーション化、配送ルートの解析やスケジュール管理など、さまざまな業務にIT技術が貢献している。

「人にしかできないこと」とは

自動運転のイメージ(画像:写真AC)
自動運転のイメージ(画像:写真AC)

 AIと人間には、それぞれの得意分野と不得意分野がある。

 AIの得意分野は、記憶力と情報処理の速さ、そして学習能力の高さだ。瞬時に課題を分析し、答えを探し出す。人間の場合、知識はあったとしても「あれ、どうだっけ」となったりする。AIにはそのような弱点がない。インプットとアウトプット、トライ&エラーを積み重ねることで精度を上げ、どんどん賢くなる。

 人間の得意分野について、次に列挙する。

・空気やニュアンスを読める
・行間を読ませることができる
・心情に配慮し、いい回しを工夫できる
・裏事情にまで気を配れる
・アイデアをひねり出せる
・マニュアル通りにすべきでないときを察知できる
・想定外の事態にも経験から対処できる
・顧客固有、案件特有の事情を加味できる
・業界を取り巻く市況や時事問題を考慮できる
・顧客と「人と人との信頼関係」を築ける
・相手の気持ちに寄り添うことができる

AIにはなくて人に備わっている能力とは、「正解がない問題を解決する力」といえるのではないだろうか。

 例えば、通関トラブルに対して即座に状況確認して交渉したり、事故が起こったりしたときに配送遅延を取り返すため、多方面に掛け合って解決したりができる能力だ。

 AIの知見は、インプットされた情報やQ&Aを機械学習した内容であり、学習していないことには対応できない。答えがインプットされている質問には回答できても、交渉や折衝となるとハードルが高いのだ。

 そして、やはり人特有の能力は、トラブルで困っている相手に対し、「何とかしてあげよう」と自発的に思えること、つまり

・相手を思いやること
・共感する力

だ。これが「正解がない問題を解決する力」の根源にあるのだと思う。

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