静岡県は“東西155km”もあるのに、なぜ新幹線「のぞみ」が停車しないのか
東京から東海道新幹線に乗ると、静岡県の区間がとにかく長い。ひたすら長い。その長さたるや、太平洋に面して東西約155kmもある。
「新幹線通行税」という抵抗

それにもかかわらず、のぞみの導入から10年目を迎えた2002(平成14)年になっても、静岡県が要望していた
・「ひかり」の停車駅増加
・「こだま」の本数増加
といった対応は進まなかった。同年12月、石川嘉延県知事(当時)は新たな対抗策を表明する。それは、
「新幹線通行税」
の導入である。
県内を通過する「のぞみ」「ひかり」は騒音だけをまき散らす迷惑者なので、県独自に法定外目的税を徴収するというものだ。静岡県は、消費税導入までグリーン車に「通行税」が課せられていたことを挙げて、法的な根拠とした。
通行税とは、1989(平成元)年4月の消費税誕生まで存在した間接税制度で、グリーン車とA寝台は料金の1割が内税として課税されていた。この前例に加え、石川県知事は原発立地県が電力会社に「核燃料税」をかけていることも挙げている。
静岡県の方針について、「皇帝」と呼ばれ絶大な権力を誇ったJR東海の葛西敬之社長(当時)は
「手法がエキセントリック(風変わり)だ」
という姿勢を示した。葛西社長の静岡県を一切を相手にしない態度に対して、静岡県は
「のぞみが走れるのは、地元がつくった駅(三島駅・新富士駅・掛川駅は地元が建設費用を負担した)で、こだまを追い越せるおかげだ」
と気色ばんだ。そして、静岡県はさらなるアクションを示した。新税制の提案に続いて、2003年2月、県独自の調査による
「理想ダイヤ案」
を公表したのである。