「呼べば10分で来る」ウィラーの新サービス「mobi」本格展開へ オンデマンド交通は根付くか
狙いは「地域の移動総量を増やす」

村瀬社長はmobiを立ち上げる背景について、次のように話す。
「テレワークの普及により、長い人で2時間かかっていた通勤時間が、手元に戻ってきています。住むところも、必ずしも通勤の便利なところではなくてよくなりました。その2時間をいかに有効に使うか、そして自宅周辺の移動が増えたという変化、ここにビジネスの機会があるのではないかと考えました」
自宅から2km圏内の移動では、「マイカーのチョイ乗り、自転車、徒歩のどれか」であり、路線バスやタクシーを使う人は少ないと考えられ、ここの移動を変えるのが重要だと村瀬社長は話す。mobiにより地域の移動総量を増やし、地域の活性化につなげるのが狙いという。
「ライバルはマイカーのチョイ乗りと自転車です。どちらも、思い立ったらすぐ乗れます。生活圏の移動では乗りたいときに乗れることが重要になりますから、10分で迎えに来ることをひとつの特徴にしました」(村瀬社長)。
利用者にとっては、マイカーを所有しなくても暮らせるようになるだけでなく、「(コロナが収束し)2024年くらいに人々の移動量が戻ると、コロナ前よりも深刻な運転手不足になることが想定されます」と言い、法人にとってもメリットがあると村瀬社長は胸を張る。
「交通は移動の『ツール』として考えられてきましたが、今後は、交通が街に新たな『文化』をつくることが要求されるのでは」。このような思いで、前出した5つの特徴を打ち出したということだ。
mobiのサービスは3月から京都府北部の京丹後市で実証実験を開始。5月からは、京丹後市と東京都の豊島区、渋谷区でサービス開始を目指すという。また、これに向け地域のサービスプランニングと運営を担う「地域オペレータ」も募集するとのこと。たとえば「渋谷mobi」など地域名、あるいは「○○mobi」と企業名を冠しての展開も想定しているそうだ。
村瀬社長は「さまざまな事業とのサービス連携を想定しています。興味がある方はどんどんお声掛けを」と呼び掛けた。