EVが売れるほど国の税収は減る? 日本は大丈夫なのか――独で年5.4兆円減収の試算! 世界中のドライバーを待ち受ける「次なる負担」とは
EUでEVの新車シェアが21.7%に達し脱炭素が進む一方、ガソリン税収の空洞化が深刻化している。ドイツで年間約5.4兆円の減収が試算されるなか、英・欧各国は走行距離や重量に基づく新課税へかじを切る。日本も2028年からEV等への重量税加算を開始。インフラ財源と環境政策を両立する「クルマ課税」の転換点を追う。
脱燃料化がもたらす自動車税の危機

欧州自動車工業会(ACEA)の統計によると、2026年1月から8月にかけて、欧州連合(EU)域内におけるバッテリー式電気自動車(BEV)の新車登録台数は164万1333台に達した。前年同期比で44.9%増え、新車市場全体の21.7%を占める規模だ。とりわけドイツは同期間に51万5,545台(同53.1%増)を記録しており、購入補助金や税の優遇、さらにガソリン高騰を背景とした移行の早さがうかがえる。
こうした普及の裏側では、各国の財政を支えてきた燃料への課税制度がほころび始めている。ドイツを例にとると、ガソリン1L当たり65.45セント、ディーゼルには47.04セントのエネルギー税がかかる。そこにCO2排出に応じた負担金や19%の付加価値税が上乗せされる仕組みだ。
化石燃料を使わないEVは、こうした課税の枠組みから外れる。ドイツの国際放送DWの報道などによれば、同国のエネルギー税収は2016年の370億ユーロから直近では330億ユーロまで落ち込んだ。仮に現在の制度のまま移行が進めば、2050年には税収が50億ユーロまで縮小し、年間300億ユーロ(約5.4兆円)規模の財源が失われるという分析もある。
減った税収をどう補うかという問題に加え、自動車に対する税のあり方そのものを見直す時期に来ている。これまで化石燃料への課税は、CO2排出や大気汚染といった社会的な負担を個人の費用として負担させる「ピグー税(外部性の内部化)」の役割を果たしてきた。同時に、燃料の消費量を道路の利用量や混雑の度合いとみなす「受益者負担の原則」も機能していた。
排気ガスを出さず燃料も燃やさない車が増えれば、環境負荷に応じた課税は機能しにくくなる。燃料の消費量と道路を使う頻度とのつながりも薄れていくだろう。