なぜ日本は「フォーミュラカー」を国産化するのか? 約40社が結集! 海外メーカーに頼る車体開発で何が起きているのか――国内連携が広げる技術とは

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海外メーカーが車体を100%独占するレース界で、国内約40社が結集した純国産フォーミュラカー開発NFPが始動した。2028年の実戦投入を見据える本計画は、昔を懐かしむ国産回帰ではない。海外依存の脆弱な供給網を脱却し、日本の製造業の競争力を底上げする、次世代のオープンイノベーション戦略に迫る。

海外依存から転じる国内連携の強化

NEXT-FORMULA-PROJECT プロトタイプ(画像:日本自動車レース工業会)
NEXT-FORMULA-PROJECT プロトタイプ(画像:日本自動車レース工業会)

 純国産のフォーミュラカー開発を進めるNEXT-FORMULA-PROJECT(NFP)は、昔を懐かしむような国産回帰や内製化を目指すものではない。

 日本自動車レース工業会(JMIA)に集う約40社が結集し、2026年5月の人とクルマのテクノロジー展2026およびモータースポーツフォーラムで、初の実働プロトタイプ車両JNFP-1を一般公開した。

 極限の運動性能や高い安全性が求められる競技用車両の開発現場を、先端技術を実車環境で確かめる国内のオープンイノベーション基盤として活かすことが真の狙いである。

 現在、F2やF3、米インディカー・シリーズなど、世界のトップフォーミュラにおけるステップアップカテゴリーの車体供給は、1972年発足のイタリア・ダラーラ(Dallara)社が独占的な契約を勝ち取り、市場をほぼ支配している。

 特定の海外メーカーに車体調達を100%頼る密に結合されたサプライチェーンには、在庫を最適化できる利点がある。一方で、スエズ運河の座礁事故に象徴される世界的物流危機や地政学的リスク、激しい為替変動(ドル・ユーロ高)に対して、代替の調達ルートを見つけるのが著しく難しい弱点も抱えている。

 日本の製造業は過去、エレクトロニクス産業や携帯電話業界で、自社のバリューチェーン内に企画から生産までを抱え込む垂直統合モデルにこだわりすぎた。その結果、世界標準化に遅れ、競争力を失った教訓がある。

 NFPは特定メーカー主導の垂直統合を避け、多様な領域の専門企業が水平につながる緩やかに結合されたネットワークを構築する。国内産業側に自前の開発・供給能力という柔軟な選択肢を生み出し、エコシステムを強化する意図が込められている。

JMIAが重ねた国産車開発の歩み

NEXT-FORMULA-PROJECT プロトタイプ(画像:日本自動車レース工業会)
NEXT-FORMULA-PROJECT プロトタイプ(画像:日本自動車レース工業会)

 NFPは、JMIAが2008年の発足以来重ねてきた国産レーシングカー開発の延長線上にある。

 同会は2015年のFIA-F4DOME F110、2020年のFIA-Formula RegionalDOME F111/3、2024年のFIA-F4 GEN2MCS 4-24、2026年のFIA-Formula Regional GEN2DOME F112と、カテゴリーをまたいで車両づくりに取り組んできた。

 その実績を踏まえ、2024年に始動したNFPは、2025年の50%スケール風洞モデル展示を経てトップフォーミュラ開発へと歩みを進め、2026年夏には実走行テストを控えている。

 国内トップカテゴリーのスーパーフォーミュラでは現在、ダラーラ製の専用ワンメイクシャシーSF23に、トヨタ製RI4Aおよびホンダ製HR-414Eという2.0L直列4気筒直噴ターボエンジン(NRE:Nippon Race Engine)を搭載している。

 NFPは既存の海外製シャシーをただ退けるのではなく、国内に代替可能な調達の仕組みを築くことで事業リスクを分散させ、最高峰レベルの車両製作能力と高度な試行錯誤の環境を保ち続ける試みといえる。

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