なぜ「電話派」を切り捨てない配車システムが生まれたのか? 配車依頼7割が電話! 静岡市の配車アプリはなぜ「電話」を残したのか
地域交通を守る中小3社の共同配車

時計の針を少し戻すと、2024年は国土交通省にとって方針転換の年だった。ライドシェアの手配方法を見直したためだ。
世界標準のライドシェアはスマホアプリでの迎車を基本とするが、少子高齢化が進む日本では、端末操作に不慣れな層が少なくない。これを受け、同省は日本版ライドシェアや公共ライドシェアを問わず、受付窓口に
「電話対応」
を含める方針を明記した。当初はアプリを原則とし、電話配車は一時的な手段と位置づけていた前提が崩れた形だ。日本の制度下ではライドシェアがタクシーの補完を担うため、両者の配車アプリは実質的に同じ役割を果たしている。
こうした制度的な背景のもと、静岡市の「よぶら~」には
・静岡ひかりタクシー
・静岡中央タクシー
・千代田タクシー
の市内中小3社が参画した。国交省の令和8年度「「交通空白」解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」地域交通DX推進タイプにも選定された事業だ。市内には自社網を持つ大手の静鉄タクシーが存在するものの、地域の運行網は多様な中小事業者の車両によって支えられている側面がある。
これまで各社は自社内に受電体制を整え、個別に配車を行ってきた。しかしこの方式では、すぐ近くに他社の空車があっても手配できず、非効率が生じやすい。そこで電脳交通の共通システムを導入し、既存の運行管理を維持したまま複数社間で車両を相互融通する「共同配車」を実現させた。
空車走行や待機時間を減らし、待ち時間の短縮につなげる狙いだ。観光客や出張などの広域需要に強い大手アプリに対し、「よぶら~」は住民の通院や買い物といった生活移動を支え、両者の共存モデルを志向する。乗務員だけでなく配車室のオペレーター不足も深刻化するなか、地域全体の輸送車両を相互活用する動きは、移動インフラを維持するための現実的な一手となるだろう。