なぜ「電話派」を切り捨てない配車システムが生まれたのか? 配車依頼7割が電話! 静岡市の配車アプリはなぜ「電話」を残したのか

キーワード :
,
電話配車が約7割を占める静岡市で、地方交通DXの新たな試みが始動した。中小3社が共同配車する「よぶら~」は、機能をあえて絞り高齢層のアプリ移行を狙う。受電率100%を叩き出す電話対応AIの台頭も進む中、アナログ依存を克服し、持続可能な移動インフラをどう構築すべきか。地域交通の最新戦略を追う。

アナログの退避路を備えた安全導線

アプリからタクシー会社の電話配車へ戻れる導線(画像:よぶら~)
アプリからタクシー会社の電話配車へ戻れる導線(画像:よぶら~)

 アプリのメニューから公式ウェブサイトを選択すると、参画するタクシー3社のウェブウェブサイトへ直接移動する。各社のウェブサイト上部には配車用の電話番号が大きく記されており、アプリ操作に戸惑った利用者が、すぐにいつもの電話受付へ戻れる導線を確保している。

 利用者を一律にデジタルへ押し込むのではなく、アナログという“退避路”を残して離脱を防ぐ構成だ。背景には、地域の切実な需要がある。電話配車の多くは

・医療機関
・福祉施設

への通院・通所を目的としているため、手配の遅れやトラブルは許されない。生活の命綱としてタクシーを使う利用者に対し、確実な移動手段を維持する安全網として機能していることがわかる。

 静岡市内にはすでにUberやDiDiといったグローバル規模の配車サービスが参入済みだ。その中で「よぶら~」は、利用環境を一気に置き換えるゲームチェンジャーを狙ったわけではない。むしろ、電話からオンライン配車へとグラデーションを描くように緩やかな移行を促す役割を担う。

 アナログとデジタルを重層的に組み合わせ、住民の移動機会を守りながらデジタル化の底上げを図る「手堅いモデル」といえるだろう。

全てのコメントを見る