なぜSuicaは「かざす改札」から変わるのか? 5駅で始まる新型改札と端末格差、あなたの端末は通れるか
近距離無線通信がもたらす移動革新

2026年5月13日と14日に開催された共創イベント「GATEWAY Tech TAKANAWA 2026」。この催しは「環境保護」「モビリティとロボティクス」「ヘルスケア」「地域創生」の4つのテーマを軸に、国内外のスタートアップや大企業、学術機関が集まり、ビジネス創出施設「LiSH」を拠点として新たな取り組みを生み出すことを目指す大規模な試みだった。
この場でJR東日本は、UWBに対応したスマートフォンを使うウォークスルー改札の体験会を披露した。2026年3月と5月には、各開業施設でも先行して同様のタッチレス改札の体験会が行われている。利用者が端末をバッグやポケットに入れたまま改札に近づくと自動で接続され、ゲートが開閉する仕組みへの関心が高まっている。実際にベビーカーを押した状態での通過実験も行われ、両手を使わずに移動できる利便性が確認された。
スマートフォンの通信機能を活用した決済の仕組みは、移動だけでなく日常の買い物などにも広がっている。コカ・コーラの自動販売機向け決済サービス「Coke ON」では、Bluetooth接続によってボタンに触れずに決済できる仕組みを実現している。近距離無線通信を活用した生活全体のデジタル化が進む中で、交通インフラもこうした変化に対応する形で変わりつつある。
他の交通事業者を見ると、ウォークスルー改札の導入は顔認証方式を中心に進められてきた。Osaka Metroでは2025年3月25日のサービス開始時点で、全134駅中130駅への設置を終え、都市部での運用に向けた環境を整えている。
さらに、この動きは鉄道以外にも広がっている。東京都と関東バスは2026年2月から3月にかけて、荻窪エリアの路線で顔認証式乗車システムの実証実験を行った。この取り組みは、交通系ICカードを持たない訪日外国人などの利用しやすさを高めることに加え、業界全体が抱える運転士不足への対応や業務負担の軽減を目的としている。
こうした複数の取り組みを背景に、顔認証方式の普及に関する報道も増えている。しかし、現在進んでいる変化は特定の方式だけを競うものではない。手ぶらで利用できる決済技術の導入を通じて、移動に関わるさまざまな認証がつながり、交通インフラの利用方法が広がっていく流れである。