「高速道路って、結局無料にならないの?」 2115年まで延長された有料期間、インフラ維持を蝕む“供給制約の二重構造”とは

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高速道路無料化の約束は事実上終焉へ。2023年改正で有料期限は2115年まで延長。老朽更新費は約5兆円規模に膨張し、“永久有料化”と維持コストの現実が突きつけられている。公共財から常時課金インフラへ転換が進む。

問われるインフラ更新費5兆円の確保

高速道路を走る大型トラック(画像:写真AC)
高速道路を走る大型トラック(画像:写真AC)

「高速道路は、いつになったら無料になるのか」――長年繰り返されてきたこの問いに対し、国がひとつの明確な答えを出してから3年が経過した。2023年5月、高速道路の有料期間を最長で2115年まで、さらに50年延長することを柱とした改正道路整備特別措置法などが成立した。

 本来、道路は誰もが自由に使える公共財であり、無料公開が原則とされる。事実、2005(平成17)年の民営化時には、建設時の借金を返し終えた後の2050年には無料化すると定められていた。政治の場でも、2009年の衆議院選挙で当時の民主党が「原則無料化」を公約に掲げ、2010年度には合計1,626kmに及ぶ社会実験が行われたこともある。だが、翌年の東日本大震災で復興費用の確保が優先されたことで実験は凍結され、無料化への道筋は立ち消えとなった。

 状況を決定的に変えたのは、2012年の中央自動車道・笹子トンネルで起きた崩落事故だった。この一件でインフラの傷みが予想以上に進んでいる実態が明るみに出て、修繕費用を確保するために、2014年の法改正で有料期間は2065年まで延ばされた。そして、3年前の法改正により、その期限はさらに2115年まで引き延ばされることになった。

 この決定が意味するのは、借金を返して終わりという従来の仕組みが完全に限界を迎えたことだ。これからは、道路を一度作って完結させるのではなく、将来にわたって価値を保ち続けるための資産として向き合わざるを得ない。大規模な修繕が必要な箇所が増え続けるなかで、もはや「無料開放」という言葉が持つ現実味は失われている。

 現場の状況は切実だ。特に物流を支える東名や名神といった大動脈では、想定を超える速さで劣化が進んでいる。NEXCO各社の試算によれば、管理区間のうち約500kmで上乗せの更新費が約1兆円必要になり、全体では5兆円規模にまで膨らむという。この5兆円は、もし道路が止まれば日本全体が被る計り知れない経済的な損害を食い止めるための、不可欠な投資である。

 もはや、あちこちを少しずつ直すようなレベルではない。中身はほとんど作り直しに近い事業が進んでいる。現状を維持することさえ簡単ではないという事実が、今の高速道路が置かれた厳しい立場を物語っている。

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