労働力とIT人材の供給力――世界450万人のエンジニア集積【短期連載】インドは自動車産業にとって桃源郷となり得るのか(3)
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人口14.5億人、生産年齢人口は約10億人。世界最大級の労働力を抱えるインドが、ITと人材供給の拠点として存在感を強めている。世界449.6万人のITエンジニアを背景に、データセンター投資は10兆円規模へ拡大。自動車産業も開発拠点として動き始めた。
若年層の高い失業率

インドが各国に労働力を送り出せる背景には、国内の雇用事情がある。
第一に、工業化の遅れにより若年層(15~24歳)の失業率が20%を超えていることだ。第二に、雇用保障や法制度の保護が十分でない労働環境が広く存在する点がある。こうした環境に置かれている労働者は全体の約90%に達するとされる。このため、賃金が高く、労働環境が整った海外で働く道を選ぶ若者は少なくない。
もっとも、海外で働く際には言語の壁が立ちはだかる。ドイツ政府は、インドから人材を受け入れる際には語学教育と職業訓練が欠かせないとしている。労働力の数は豊富でも、言語を克服できなければ従事できる仕事は限られ、専門的な人材としての役割を担うことは難しい。
言葉が通じないことは、労働者自身の安全にも影響する。異国で働くなかで危険に直面する可能性が高まるためだ。ロシアでは、詐欺的な契約によって労働者がウクライナとの国境付近に送り込まれたとの報道もある。労働者や技術者として力を発揮するには、送り出す側のインドだけでなく、受け入れる国や企業にも教育や支援体制の整備が求められている。