全固体電池は「EV」の価値をどう変えるか? 日本勢の遅れと、中国・韓国勢の先行が描く世界市場の攻防
日本勢は全固体電池の完成度向上に時間を費やす一方、中国や韓国は2024~2027年に市場投入を進め、2030年の世界EV市場で40%のシェア獲得を狙う。技術と量産の勝負はこれから始まる。
間もなく明らかになる実力

次世代バッテリーの研究開発は競争の真っただなかにある。全固体か半固体か、酸化物か硫化物かといった素材の選択はまだ収束しておらず、材料特性や加工性、安全性、コストの関係が複雑に絡むため、利益を確保するための明確な答えは出ていない。
2030年までの世界市場では、中国勢(CATL、BYD)が40%のシェア獲得を目標に掲げ、アジア太平洋地域の成長が最大となる見通しだ。これに対抗して欧州のグリーンディールや米国のインフレ抑制法(IRA)などの政策が、産業分散と自国内での供給網確保を後押ししている。
2027年以降に始まる限定的な量産は、製造原価が販売価格を上回る赤字期間を前提としている。この初期段階を高級車ブランドの付加価値で支えるか、公的資金で補うかは経営判断の重要なポイントとなる。
全固体電池の性能を引き出すには、バッテリー挙動を精密に管理するソフトと車体側の制御を高度に統合する力が求められる。ハード性能をそのまま競争力に変えるのではなく、車両全体を付加価値の高い商品として昇華させる発想が重要だ。
理論上の夢から現実の量産化へ、市場は変革の途上にある。トヨタ自動車が掲げる目標は、日本の輸出産業を支える柱を守るための重要な指標となる。リチウムイオン電池の価格競争が激しいなか、高価格な全固体電池を収益事業として成立させる道筋を早期に示す必要がある。
2027年以降、日の丸EVが再び世界市場で優位に立てるかは、技術完成度をいかに迅速に市場シェアへ変換できるかにかかっている。