福井県知事が辞意――今後「北陸新幹線」はどう動くのか? 小浜vs米原ルート、政治・地域を揺さぶる分岐点とは
筆者への反対意見

小浜・京都ルートには政治的・感情的な正統性がある。2016年度の与党プロジェクトチームで正式に決定された経緯があり、今さらの再検証は「政治的に不誠実」と受け止める立場もある。さらに、原発立地の嶺南地域への国の振興策として、小浜通過を重視すべきとの考えも根強い。
国や自治体の公文書には、原発立地地域での振興が国家的課題であると明記されている。原発の代償として新幹線建設が期待された政策的雰囲気も事実だ。形式的な政治的約束でなくとも、そうした環境を作ったのは行政の責任である。米原ルートへの切り替えが地域住民に裏切りと受け止められる可能性は十分にある。
加えて、米原ルートではリニア中央新幹線の大阪延伸まで東海道新幹線への依存度が高まる。災害時の冗長性を損なうとの指摘もあり、国土軸整備の観点から批判を受けるリスクも存在する。
地域の実情も無視できない。小浜や美浜周辺地域は人口が少なく、従来の路線バスは廃止が進み、オンデマンド交通の導入が進行中だ。人口減少に加え高齢者や障がい者も増え、医療・福祉・防災、教育、インフラ老朽化への対応が課題となっている。人もインフラも高齢化が進む、いわば「エイジングシティ」の縮図である。
観光地としての魅力はあるが、人口減少下で観光効果がどこまで持続するかは不透明だ。小浜線沿線では、将来的に地域の維持・振興策がより重要となる。新幹線建設で街が活性化した例はあるが、縮小社会では同じ効果を期待できない。原発代償として新幹線を建設するのではなく、地域開発支援の観点から判断すべきとの意見も根強い。
コンパクトシティ化が進むなか、将来の地域振興策としての新幹線より、都市間移動手段としての機能を重視すべきとの考え方もある。こうした視点から、小浜・京都ルートへの支持は、政治的正統性にとどまらず、地域振興や国の施策との整合性を重視した現実的な判断だといえる。