「若者のクルマ離れ」は嘘だった? 免許率低下の裏で高まる若き熱意! 「自分もいつかは」中古車&残クレが示す二極化世代の選択とは
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文化的土壌としての体験

若者がクルマに憧れを抱くきっかけは、必ずしも現実のカーライフから始まるわけではない。むしろ幼少期から触れてきた
・ゲーム
・漫画
・アニメ
などのコンテンツが大きな役割を果たしている。
レースゲーム「グランツーリスモ」や「Forza」シリーズは、実在する車種を高精細なグラフィックで再現し、まるで自分がその車を操っているかのような体験を提供する。首都高を舞台にした「首都高バトル」シリーズは、ストリートカルチャーと直結する魅力を持ち、東京湾岸を実際に走ってみたいという夢を若者に与えた。ゲーム内での勝利やカスタマイズ経験は、自己効力感や車両選択の価値観形成にもつながっている。
漫画やアニメの影響はさらに大きい。「頭文字D」は峠を舞台にしたバトルを描き、AE86やFD3Sといった車種をアイコン化した。「湾岸MIDNIGHT」は首都高速を疾走するZを通じて都市型の憧れを育んだ。こうした作品は娯楽にとどまらず、車両やドライビングスタイル、チューニング文化への理解や関心を広げる役割を果たしている。
実際、「旧車王」を運営するカレント自動車の調査では、76.7%の回答者が「車に興味を持つきっかけとして、映画・ドラマ・漫画・ゲームなどの作品に影響を受けたことがある」と答えている。エンタメコンテンツは、若者が車を文化として認識する入口となっている。幼少期にテレビで見たカーレース映画やアニメ、友人と熱中したレースゲーム、雑誌や漫画で知った名車の存在など、多様な体験が「自分もいつかは乗ってみたい」という憧れを芽生えさせた。
同社の別のアンケート調査では、9割以上の人が20代までに「輸入車に興味を持ち始めた」と回答している。憧れの対象は国産車に限らず、映画で見たポルシェやフェラーリ、ゲームで操作したBMWやアウディなどにまで広がる。こうしたグローバルなコンテンツは、若者の意識を刺激し、購入や所有行動に潜在的な影響を与えている。
若者にとってクルマは「遠い存在」ではない。身近なコンテンツを通じて日常的に触れられる憧れの対象として潜在的に刻み込まれているのである。免許取得前から「いつかは自分も」と夢を抱き、成人後にその憧れを現実化する流れは確実に存在する。学生時代に漫画で憧れたスポーツカーを社会人になって中古で手に入れる、ゲームで慣れ親しんだ車種を実車で乗りこなすといったケースも少なくない。
文化としてのクルマは、移動手段にとどまらず、
「物語の主人公になる体験」
を与える存在である。自分の人生を象徴するステージやキャラクターを選び取る行為と結びつき、所有の意味は自己表現やライフスタイル形成にまで広がる。こうした文化的影響は、消費の対象ではなく、クルマを通じて人生を楽しむ価値観を育む土壌となっている。