なぜ「ランクル」は世界1000万台超選ばれるのか? トヨタがあまり語らない「真の競争優位性」とは

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トヨタ・ランドクルーザーは1951年登場以来、170か国以上で販売、累計1000万台超のロングセラーを誇る。耐久性と修理容易性で新興国市場でも資産価値を保ち、災害や国際援助でも活躍するSUVの真の競争力に迫る。

環境と価格の課題車

トヨタ・初代ランドクルーザー(BJシリーズ)(画像:トヨタ自動車)
トヨタ・初代ランドクルーザー(BJシリーズ)(画像:トヨタ自動車)

 ランドクルーザーがロングセラーとして成功した背景には、あまり語られない事実もある。武装勢力によって、軍事上の

「テクニカル(即製戦闘車両)」

として利用される例もある。皮肉なことに、ランドクルーザーの耐久性が、紛争地での活用を助長してしまった面も否めない。

 環境性能では後れをとっている。車両の大型化に燃費性能が追随せず、不一致が生じている。最新モデルの300系ガソリン車の燃費(WLTCモード)は約8km/Lにとどまる。先代200系から排気量は3割減となったが、燃費改善は2割程度にとどまっている。

 車両価格も高騰傾向にある。新型300系の日本価格は、ガソリン車(5人乗り)で525万円、ディーゼル車(7人乗り)で774万円となる。北米でも6万ドル(約888万円)前後で販売されている。かつての

「庶民のための耐久SUV」

というイメージとは大きく乖離し、高級車並みの価格帯に達している。高価格化と環境不適合は、今後のモデル存続における顕在リスクとなる。

 一方で、ランドクルーザーは新たな価値の模索も進めている。国内では観光産業や災害対応に活用され、その価値が再評価されつつある。中東では、石油収入依存からの脱却を目指す国々が観光産業への転換を図るなかで、砂漠地帯などでの活用例が増えている。将来的には、

・ハイブリッド化
・電気自動車(EV)化

によるブレークスルーが期待される。EVモデルであれば、災害時に電源供給が可能となる。また、長期稼働車両のリサイクルやリファービッシュ市場を拡大すれば、新車販売に依存せず、持続可能なビジネスモデルの構築も可能だ。

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