なぜ「ランクル」は世界1000万台超選ばれるのか? トヨタがあまり語らない「真の競争優位性」とは

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トヨタ・ランドクルーザーは1951年登場以来、170か国以上で販売、累計1000万台超のロングセラーを誇る。耐久性と修理容易性で新興国市場でも資産価値を保ち、災害や国際援助でも活躍するSUVの真の競争力に迫る。

需要を支える耐久価値

ランドクルーザー・40系(画像:みえトヨタコミュニティサイト)
ランドクルーザー・40系(画像:みえトヨタコミュニティサイト)

 グローバル市場でランドクルーザーは一強といえるのか。他メーカーのスポーツタイプ多目的車(SUV)との比較で検証する。

 代表的なライバル車はメルセデスベンツ・Gクラスである。ベンツのなかでも高価格帯に位置し、都市型SUVの洗練された印象が強い。ブランド力では圧倒的な存在感を示すものの、悪路走破性ではランドクルーザーが上回る。

 次に米国車の代表格としてフォード・ブロンコを挙げる。日本では馴染みが薄いが、ラダーフレームを備えた本格的なクロスカントリー四駆車である。ランドクルーザーより武骨な印象で、米国国内では古くから人気を集めてきた。購入層は地域や嗜好によって二分されるだろう。

 ランドクルーザーは技術面で「過剰最適化」を避け、整備環境が限られる地域でも稼働できる設計思想を貫いている。シンプルな車両構造と、世界中に張り巡らされた部品供給網が特徴である。部品供給のリードタイムは他社に比べて短く、価格も安定しているため、メンテナンスに不安を感じることは少ない。

 1960年に発売された「40系シリーズ」の部品は、いまだに新興国市場で流通している。信頼性と耐久性の高さから、製造から50年以上経った40系が現役で活躍する地域も存在する。耐久性と修理のしやすさが重なり、経済性の観点からユーザーに選ばれてきたのである。

 ランドクルーザーは、新興国の中古車市場で値落ち幅が小さい。

「資産価値を保つ商品」

としての側面もある。発売から10年経過しても、リセールバリュー(再販価値)が新車価格の50%以上となるケースもある。政情不安や金融制度が未整備な国々では、新車購入が難しい層にとって、車の所有は

「通貨代替的価値」

を果たす。一部のアフリカ諸国では、ランドクルーザーが土地や金と同等の交換価値を持つ。保険制度やローン制度が脆弱な国々では、耐久消費財の信用が経済的インフラを代替する役割も果たしている。こうした事情から、ランドクルーザーの需要は底堅いといえる。

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