ホンダ、米国「偏重」は吉か凶か? トランプ関税に翻弄される日本メーカー! 生産移管加速の行方どうなる?

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ホンダが再び岐路に立っている。米国での販売が世界の約4割を占める中、生産移管や電動化、通商政策の変化が複雑に絡み合う。USMCAの枠組みや新たな関税措置も含め、北米再編の行方は日本の製造業の未来を占う試金石となる。

ホンダの北米広域分業体制

ホンダ・シビックセダン(画像:米国ホンダ)
ホンダ・シビックセダン(画像:米国ホンダ)

 ホンダにとって米国市場は、世界販売台数の約4割を占める最重要市場だ。2024年の米国販売台数は約142万台。そのうち約100万台を米国内で生産し、残る約30万台をカナダから輸入している。

 米国内の完成車工場は、オハイオ州メアリズビルとイーストリバティ、インディアナ州グリーンズバーグ、アラバマ州リンカーンに立地している。これらの工場では、アコード、CR-V、シビックといった主力車種を生産している。

 一方、1986年に操業を開始したカナダ・オンタリオ州アリストンの工場では、シビックやCR-Vを年間約40万台生産している。メキシコ・グアナフアト州の工場ではHR-Vなどを製造している。

 ホンダは、米国・カナダ・メキシコにまたがる北米生産体制のもと、補完的な分業を進めてきた。USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の枠組み内で、関税回避や現地生産比率の最適化を図る戦略である。

 この生産体制では、複数車種を各国で重複生産しているため、米国内の生産能力を土日稼働やシフト追加によって短期間で増やすことが可能だ。生産設備を増設すればさらなる増産も見込めるが、準備には約2年を要し、多額の投資もともなう。そのため、米国への生産移管や増産には慎重な判断が求められる。

 一方、カナダのアリストン工場は操業開始からすでに30年以上が経過しており、設備の老朽化が進んでいる。カナダ市場の規模は米国の約1割強にとどまり、電気自動車(EV)シフトを見据えれば、老朽設備を更新して生産を維持するより、米国への集約も選択肢となる。

 米国におけるEV戦略の中核となるのが、ホンダとLGエナジーソリューションが共同で建設を進めるオハイオ州のバッテリー合弁工場だ。2025年中の量産開始を予定している。米国でEVの最終組立と主要部品の調達義務を満たすには、生産をすべて米国内で完結させる必要がある。

 生産集中による効率化と、補助金適格化という政策的メリットの両立は、ホンダにとって米国再編の合理性をいっそう高めることになるだろう。

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