元日産ディーラーが明かす「ブラック企業」時代の記憶! 昭和的スパルタ指導の日々…これからは顧客本位、FP知識の時代だ
ディーラー業界での過酷な経験を経て、現在は金融業界で活躍する筆者が考える「もし車の販売現場に戻ったら」。顧客視点に立った営業手法を追求し、転職で得た知識を活かした提案で、営業成績を更新できる可能性を探る。新たなキャリアと視点が生む営業改革とは。
ファミリー層への誤解と気づき
ディーラーを退職してから9年が経過した。振り返ると、当時と今では考え方に大きな違いがあることを実感している。連日、上司に詰められ続け、精神的に追い詰められていた。その結果、「自分本位」の仕事をしていたと気づいた。契約を取るため、整備の予約をしてもらうために、顧客に無理を強いていたと思う。
新たな道に進んでからは、上司にも恵まれ、営業活動に余裕が生まれた。今では「顧客本位」の営業ができていると実感している。
プライベートでは結婚し、子どもも授かり、当時提案していたファミリー層への無理な提案が間違っていたことに気づいた。
「毎月3万円で新車が乗れますよ」
とよく話していたが、独身と家族持ちでは3万円の価値観が大きく異なる。実際に体験して初めて理解できたことが多い。転職だけでなく、歳を重ねたことで視野が広がったのだろう。
もちろん、ディーラーに勤め続けていたとしても、考え方や行動方針には変化があっただろう。しかし、一社だけ経験したのと複数社経験したのでは、大きな違いがあると感じている。
ディーラー退職後は金融業界に転職し、ファイナンシャルプランナー(FP)として活動をしている。これにより視野が広がり、メディアで執筆する機会も得た。人生の先輩方には「社会に出て10年ちょっとの若造」と思われるかもしれないが、あの頃と比べると確実に成長していると自信を持っていえる。