大学生で「高級車」はおかしい？ 親に買ってもらった勝ち組？ 甘え？ 身分不相応？ 所有の意味を問い直す

所有する意味を再定義する時代

「自分で稼いだお金で高級車を買うべきだ」という意見には、経済的自立を重視する価値観が反映されている。しかし、同じ高級車が親の支援で手に入った場合、その価値は本当に変わるのだろうか。

　所有物の価値は、購入経路よりも「どのように使われるか」によって決まるとの考え方も存在する。もし高級車が単なる見せびらかしの道具に過ぎないのであれば、批判されるのも理解できる。しかし、移動の自由を広げ、学業や課外活動の機会を増やし、他者との交流を促進するための手段となるのであれば、その価値は十分に正当化される。

　さらに、高級車を所有することで自己責任と成熟を促す場合もある。維持費や燃料代、保険料を自分で負担することで金銭感覚が養われ、社会的責任を意識するきっかけにもなるからだ。

　近年、カーシェアリングやサブスクリプションサービスの普及により、クルマの「所有」そのものが見直されつつある。必要なときだけ利用する新しいモビリティの形は、移動手段としての利便性を重視し、ステータスシンボルとしての価値を相対化している。

　この流れの中で、「誰が買ったか」よりも「どのように使うか」が重要な視点となる。親に買ってもらった高級車も、大学生活を充実させる手段として活用されるのであれば、社会的な意義を持つ存在となり得る。

　また、高級車自体も従来の「贅沢品」としての側面から、「安全で快適な移動環境」としての役割が強調されつつある。最新の安全機能や環境性能を備えた車両は、むしろ責任ある選択と見なされることがある。