エコカー補助金「最大5万円」増額! 知らないと損? 増額の条件「グリーン鉄」って何?
2025年4月から始まる新たなクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)が注目を集める。最大5万円の増額支給を通じて、グリーン鉄を使用した車両の普及が加速することが期待され、脱炭素化と産業競争力強化の一石二鳥を狙う。自動車メーカーと鉄鋼産業の連携強化がカギとなるこの施策、効果と実現可能性を深掘りする。
ESG投資と競争力強化の未来

自動車メーカーは、グリーン鉄の採用がブランド価値の向上や市場競争力の強化につながると期待している。
近年、環境意識の高まりにより持続可能な製品への需要が増しており、特に欧州市場では環境性能を重視する消費者が多いため、グリーン鉄を採用した車両の付加価値が高まると考えられる。さらに、企業が環境対応を進めることは、ESG投資(企業の財務的なパフォーマンスだけでなく、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を考慮して投資を行う手法)の対象にもなるというメリットがある。
一方で、補助金の増額は最大で5万円であり、最も少額の55万円が支給される軽EVやPHVでも、増額分は1割に満たない。これでは消費者にとってのメリットは限定的であるといわざるを得ない。したがって、一定期間をかけて補助額を段階的に増額し、グリーン鉄の採用拡大を促進することが、持続可能な普及につながると考えられる。また、自動車メーカーが長期的に価格競争力を確保するためには、グリーン鉄を使用した車両や製造過程に対する税制優遇措置も必要となる。
本政策の持続可能性を考慮すると、一時的な補助金の増額だけでは不十分であり、長期的な施策として機能させることが不可欠である。価格競争力の向上やサプライチェーン全体での取り組みが求められるが、民間企業が主導するには限界がある。そのため、政府の関与と支援の度合い、また市場原理にどこまで委ねるかのバランスが重要となる。