エコカー補助金「最大5万円」増額! 知らないと損? 増額の条件「グリーン鉄」って何?

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2025年4月から始まる新たなクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)が注目を集める。最大5万円の増額支給を通じて、グリーン鉄を使用した車両の普及が加速することが期待され、脱炭素化と産業競争力強化の一石二鳥を狙う。自動車メーカーと鉄鋼産業の連携強化がカギとなるこの施策、効果と実現可能性を深掘りする。

EV普及と環境負荷削減の新戦略

製鉄工程(画像:日本製鉄)
製鉄工程(画像:日本製鉄)

 現在のエコカー補助金は、電気自動車(EV)で最大85万円、軽EVやプラグインハイブリッド車(PHV)は55万円、燃料電池車(FCV)は255万円だが、新たな補助金制度により、最大5万円の増額が加算されることになる。

 経済産業省は、2025年度の補助金申請に向けて、2025年2月下旬までに自動車メーカー各社からグリーン鉄の導入計画を受け付ける予定だ。具体的な審査基準は今後発表されるが、委員会による審査を経て、3月下旬には補助額を決定し、公表する予定である。対象となるのは、2025年4月1日以降に登録された車両だ。

 新制度におけるグリーン鉄とは、製造過程でCO2の排出を大幅に削減した鉄鋼で、主に水素還元製鉄技術や電炉を活用した製造方法が含まれる。この制度は、自動車メーカーがグリーン鉄を積極的に採用することで、鉄鋼メーカーの脱炭素化投資を促進し、産業全体の脱炭素化を加速させることを目的としている。

 自動車産業においては、製造に使用される鉄鋼が国内生産量の2割以上を占めるため、グリーン鉄の導入はCO2削減に大きな影響を与えると期待されている。また、EVの普及にともない、バッテリー製造過程で新たな環境負荷が発生する課題も指摘されている。

 グリーン鉄に置き換えることで、CO2排出量を削減し、製品全体のライフサイクルを通じて環境負荷を低減させることが可能となる。さらに、グリーン鉄の導入は、企業の環境対応力を高めると同時に、消費者や投資家に対して環境への配慮をアピールする手段ともなる。

 一方、鉄鋼産業においては、脱炭素製鉄技術への投資を促進する狙いがある。これらの技術には莫大な投資が必要だが、グリーン鉄の需要が安定していない段階では、投資リスクが高くなるため、政府による支援が重要である。具体的には、政府系金融機関による低利融資制度や研究開発助成金の提供が求められる。また、技術革新のスピードと投資回収のバランスを取ることも、今後の重要な課題となる。

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