大都市で「自家用車」を持つ人は“情弱”か? 高いガソリン代と保険料、その奥にある言語化できぬ魅力とは

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自家用車を持つ・持たないのメリット・デメリットを論じるのは、最近の自動車関連メディアの定番テーマである。確かに、すべてを対立構造で論じると、クルマにまつわるいくつかの問題が明確になりやすい。ただそれでいいのか。

“自家用車離れ”の背景

クルマ(画像:写真AC)
クルマ(画像:写真AC)

 近年、クルマ関連の話題でメディアをにぎわせているのが、大都市圏における“自家用車離れ”である。実際、関東では東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県。関西では大阪府、京都府、兵庫県ですでに自家用車の保有台数が1台を切っている。自家用車世帯は今や少数派である。

 このような状況の背景には何があるのだろうか。まず、少子高齢化による“若者のクルマ離れ”である。昭和から平成初期にかけては、東京でも一家に1台は自家用車があるのが普通だった。男女を問わず、子どもは18歳で運転免許を取得したし、自家用車の運転は、若者たちがクルマと関わる原点のようなものだった。

 しかし、1世帯あたりの保有台数が1台を切ると、たとえ子どもが運転免許を取得しても、家にクルマがないケースを生んだ。一方、子どもが自らの意思でクルマを手に入れようとしても、大都市圏では地方とは比較にならないほどの駐車場維持費が大きな障害となった。

 その結果、“自家用車離れ”がさらに進んだ。“自家用車離れ”が進めば、その結果、クルマにあまり興味のない人が増えるのは当然である。

 また、大都市圏では公共交通機関が発達しているため、自家用車の必要性はそれほど高くない。ただ、急にクルマが必要になったときはどうするのか。かつてはレンタカーがその役割を担っていたが、近年はより便利な移動手段としてカーシェアリングを利用するケースが少なくない。これが、“自家用車離れ”をさらに加速させているわけである。

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