中国の「気候変動対策」が日本を圧倒する4つの理由 歴史認識と政策が生み出すギャップとは?

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気候変動による異常気象や資源の変動が深刻化するなかで、中国は脱炭素化を進め、電気自動車や太陽光発電への投資を強化している。中国には、過去の王朝交代が気候変動に関連していたという歴史的背景があり、それが現在の積極的な対策に影響を与えているのではないか。一方、日本は気候対策に慎重であり、この違いは歴史的な認識にも関係している。

中国が先行する三つの理由

気候変動に関するデモ(画像:Pexels)
気候変動に関するデモ(画像:Pexels)

 なぜ、中国は気候変動対策で日本よりも進んでいるのだろうか。

 その理由を整理すれば、次の三つにまとめられる。

 ひとつめは「関心の高さ」である。かつては国土の砂漠化、その後には大気汚染や水質汚染が社会問題となった。その経験から環境問題に敏感であり、気候変動と対策を重視する要因となっている。

 世論は対策で一致している。中国言論規制の影響もあるだろう。ただ、国を挙げて気候変動問題に取り組む素地(そじ)となっている。

 対して、日本には気候変動を小ばかにする雰囲気が残っている。さすがに以前のような全面否定論はない。ただ、今でも「他国が炭素を出すので無駄」との混ぜ返しや

「経済も大事」

との言い方で水を差そうとする、いわゆる現実主義的な主張も少なくない。

 そのため世論の盛り上がりはそがれる。いきおい、社会の動きも悪くなるのである。

 ふたつめは「指導力の差」だ。中国は指導部、共産党政治局が指示すれば政府以下は従う。そして、今の指導部は気候変動を重視しており「緑色低炭」政策を進めている。中国政治体制の是非はおくが、気候変動対策が強力に推進される理由である。

 日本の場合、政治主導でも徹底できない。気候変動なら経済界や、その威を借りる経済官庁の抵抗を排除できず骨抜きにされる。

 三つめは、「対策の余地が大きいこと」である。まず再エネに向く砂漠以下の土地があり、太陽光や風力技術で世界の先頭を走っている。加えて炭素削減に向く天然ガス利用の有利もある。四川以下の国産ガスや中央アジア産ガスを山元から全国の消費地までパイプラインで運ぶ仕組みができている。

 日本は自由度が少ない。再エネは既存の土地利用とどうしても競合する。天然ガスは液化天然ガス(LNG)輸入であり液化コストがかかる。パイプライン輸送網は新潟を含む関東だけだ。

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