トヨタ会長も訴えた「交通安全の限界」 なぜ“時速20kmのまちづくり”が世界的トレンドになっているのか?【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(24)

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最高速度20km/h規制や「出会いの空間」の導入が世界的に進むなか、日本はまだ2合目段階だ。緩やかなまちづくりと人間中心の政策が求められている。

30km/h規制の成果と広がり

出会いの空間でサッカーに興じる子どもたち。ストラスブール(画像:牧村和彦)
出会いの空間でサッカーに興じる子どもたち。ストラスブール(画像:牧村和彦)

 ビジョンゼロは今や世界中で注目され、その成果が続々と報告されている。そのひとつがまち中全域を

「最高速度30km/h」

とし、スローなまちづくりを推進していく政策だ。

 フィンランド首都のヘルシンキが全域30km/h規制を採用し、2021年には年間の歩行者が関連する死亡事故が0件になったのは大きな話題となった。大都市で年間死亡事故ゼロを実現することは無理であるという“固定観念”を大きく変えたといってよい。

 その後、2021年1月には、ベルギーの首都ブラッセル(ブリュッセル)、同年8月にはパリ、さらにはロンドンやウェールズでも導入が広がっている(もちろん、幹線道路等の都市の重要路線は除外している)。今やフランスは

「200都市以上」

で導入済みの大注目の交通政策だ。

 日本でも生活道路などを中心に、中央線のない道路をこれまでの最高速度60km/hから30km/hとする方針が政府から示され、施行は2026年9月とすることが先日閣議決定された。大いに期待したいものの、先に紹介したビジョンゼロの哲学、その広がりと比べれば、日本の安全対策はようやく

「2合目」

辺りまでたどり着いた印象だ。

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