商船三井「さんふらわあ」自動離着桟に成功 通常営業の大型カーフェリーで世界初
通常営業の大型カーフェリーで自動離着桟を行う世界初の試みが成功。船員不足問題を解決する糸口のひとつと考えられている船の自動航行に向け弾みがついた。
「さんふらわあ しれとこ」で成功

通常営業の大型カーフェリーで自動離着桟を行う世界初の試みが成功した。三井E&S造船、商船三井、東京海洋大学、三井造船昭島研究所、商船三井の5者が2021年5月21日(金)に発表した。
これは国土交通省の自動運航船実証事業に採択された「船舶の自動離着桟の安全性に係る実証事業プロジェクト」の一環。2021年3月から4月にかけ、商船三井フェリーの大型カーフェリー「さんふらわあ しれとこ」を用いて、茨城県大洗港の実岸壁にて自動離着桟の実証試験を行ったものだ。
今回の実証実験は、実際に営業航海している大型カーフェリーで、かつ実岸壁での実証実験という点で、世界初の試みだという。実施前に「さんふらわあ しれとこ」の操船性能を踏まえてシミュレーションし、様々な事象下での安全性評価を十分に行ったほか、まず海上に想定した仮想桟橋に対しての自動離着桟を実施し、安全性を実船においても検証した上で、実証実験に移ったという。
5者は今後、他船種でも同様の実験を行い、より汎用性の高い技術とすることを目指すほか、自動航行の実現に向けた取り組みも進めていくとしている。
船員不足を背景とした技術伝承の問題や、ヒューマンエラーの防止などに対し、船の自動運航技術が解決策のひとつと考えられている。2025年の実用化を目指し、国ぐるみで自動運航船の研究が進められている。