パスポートが「8900円」に値下げされました。夫は「7000円も安くなった今のうちに取っておこう」と言いますが、旅行費用がコロナ前より3割以上も高くなり、結局海外旅行に行けない方が心配です…“安いうちに取得する”と“実際に旅行へ出かける”で何が変わるのでしょうか?
パスポート手数料が8900円へ引き下げられ申請が殺到する一方、保有率17.8%の国内では円安や物価高から8割超が渡航を見送る。さらにインバウンド急増にともなう空港アクセスの輸送力逼迫という「現場の壁」も浮上した。制度改革の先に待ち受ける、日本のアウトバウンド回復に向けた構造的課題を解き明かす。
渡航費用の壁を崩すパスポート減額

2026年7月1日、18歳以上を対象とする10年用パスポートの取得手数料が、オンライン申請に限り8900円に引き下げられた。従来の1万5900円から7000円の減額となり、海外渡航にかかる初期費用を抑えたい人にとって、大きな制度変更となった。
旅行の計画が固まる前に支払うパスポート代は、渡航を取りやめた場合に戻ってこない先行費用だ。数十万円に膨らむ海外旅行全体の予算から見れば、数千円の差は小さいかもしれない。それでも、1万円札でお釣りがくる価格になれば、心理的な負担は大きく軽くなる。これまで取得をためらっていた人を動かすきっかけになるだろう。
一方、政府は同じタイミングで、出国者が支払う国際観光旅客税(出国税)を1000円から3000円へ引き上げた。増収分を手数料引き下げによる減収の補填やオーバーツーリズム(観光公害)対策などに充てる、連動した政策として進められている。
海外へ向かう人が増えれば、その影響は航空業界にとどまらない。空港へ向かう鉄道やバス、タクシーといった地上交通にも広がる。パスポート取得にかかる負担を軽くした結果、空港アクセス網の混雑という新たな課題も浮かび上がりつつある。