なぜ四国は「ストロー効果」の餌食にならなかったのか? 累計51兆円の経済効果! 海を渡る巨大ルートで何が起きているのか――本州企業にも広がる「産業集積」の恩恵とは
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- 高速道路, 神戸淡路鳴門自動車道, 瀬戸中央自動車道, 西瀬戸自動車道, 道路
本州と四国を結ぶ3本の高速道路が開通以来もたらした、累計約51兆円の経済効果。移動時間を3分の1に縮め、3時間圏人口を約8.6倍に広げた動脈の恩恵は、実に66%以上が四国外へ波及している。交通の枠を超えて産業構造やサプライチェーンを作り変えた巨大インフラの真価を、データから紐解く。
累計51兆円を生んだ広域共通市場

本州と四国には、2026年10月現在、神戸淡路鳴門自動車道、瀬戸中央自動車道、西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)の三つの高速道路が通っている。海を渡るこれらのルートは、本州と四国を結ぶだけでなく、淡路島をはじめとする瀬戸内海の島々をつなぐ重要な交通手段でもある。長大な橋から周囲の海を眺められるため、ドライブコースとしても親しまれている。
山陽自動車道や四国各県の高速道路と接続し、瀬戸内海を取り囲む広域の交通網を形づくっている。本州と四国を結ぶ最初の路線として瀬戸中央自動車道が開通した1988(昭和63)年から2022年までの累計経済効果は、約51兆円に達する。
これほど大きな経済効果が生まれた背景には、移動時間の短縮や人とモノの流れの変化に加え、地域の産業構造の変化がある。かつてフェリーや定期船などの海上輸送に頼っていた時代には、悪天候による欠航や港での長い待ち時間が避けられず、企業が計画どおりに取引を進めるうえで大きな負担となっていた。
道路網の整備が進むにつれて、こうした輸送上の制約が解消され、地理的にも経済的にも隔てられていた本州と四国は、ひとつの大きな市場へとつながっていった。道路は完成後も使われ続けることで効果を生み、地域全体の生産性を高める役割を果たしている。
道路がつながり、交通量が増えるなかで、社会にはどのような変化が起きたのだろうか。累計約51兆円という経済効果の中身を具体的に見ていこう。