【川口vs所沢】なぜ埼玉県内で評価が真っ二つに分かれるのか? 気になる住宅購入者の街選び! 移動効率か生活圏の充実かを分ける条件とは
移動コストと住環境が決める街選び

街選びでは、都心への近さや通勤のしやすさに加え、住まいの広さや自然環境、日々の買い物の利便性も暮らしを左右する。住宅の購入は、物件価格を比べるだけでなく、将来にわたって日々の移動にかかる時間、体力、費用をどう抑えるかを考える判断でもある。こうした移動にかかる負担の総額をトータル移動コスト(TCO:Total Cost of Mobility)と呼ぶ。
不動産情報サービスのアットホーム(東京都大田区)が2026年10月15日に発表した「2026年 購入・街ランキング(埼玉県編)」では、県南東部の
「川口市」
が全カテゴリーで1位となった。一方、南部の所沢市はカップル向けとファミリー向けで2位に入っている。
・移動の負担を抑えやすい街
・移動の回数を減らして住まいで過ごす時間や環境を重視する街
どちらを評価するかによって、同じ県内でも住宅購入を検討する人々の関心は分かれているようだ。交通網や住宅取得費、街の成り立ちから、その背景を探ってみよう。
全冠の川口と複数世帯で伸びる所沢

アットホームが2026年6月1日~8月31日の物件詳細ページのPV(ページビュー)数を基に集計したランキングでは、川口市の強さが際立つ。
・総合
・シングル向け
・カップル向け
・ファミリー向け
のすべてで1位となり、前年に続いて首位を守った。対照的に順位を上げたのが所沢市だ。総合で3位(前年4位)、カップル向けで2位(前年6位)、ファミリー向けで2位(前年4位)となった。さらに、
・川越市:総合2位
・越谷市:総合4位(ファミリー向け3位)
に入り、郊外の拠点都市にも注目が集まっている。
この結果から、川口は幅広い世帯から関心を集め、所沢はふたり以上で暮らす世帯の住まい探しで存在感を高めていることが分かる。毎日会社へ通う生活では、都心までの移動時間や体力の負担を抑えやすい川口が選ばれやすい。
対して所沢の順位上昇には、在宅勤務の普及などによって都心へ向かう頻度が週2~3日程度に減った世帯の動きが表れているだろう。移動する回数を減らせるなら、多少の通勤時間を受け入れ、その分の時間や費用を住まいの広さや環境の良さに充てる。こうした暮らし方への関心が高まっていると考えられる。
ただし、このランキングが示すのは実際の契約件数や住民の満足度ではなく、住宅購入を検討する人の閲覧状況だ。順位が上がっても、所沢での住宅購入が同じ割合で増えたとは限らない。
実態を把握するには、閲覧数の実数や新築・中古物件の供給戸数、価格帯の変化なども確認する必要がある。それでも、働く世帯の移動頻度の変化が、川口と所沢という異なる街への関心に表れている可能性は、これからの街選びを考えるうえで注目に値するだろう。