なぜディーゼル車は「燃費がいい」のに維持費がかさむのか? 10分以内の運転に要注意! “ちょい乗り”が招く思わぬ出費とは
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“ちょい乗り”が招くフィルター再生難

毎日の通勤や近所の買い物など、片道10分ほどの短い距離を走ってすぐにエンジンを切る「ちょい乗り」。モータリゼーションが成熟し、自動車が日々の生活インフラとして深く定着した現在、こうした使い方をしているディーゼル車のオーナーも少なくないだろう。
ガソリン車も短距離走行の影響を受けるが、現代のディーゼル車では事情が少し異なる。排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して燃やす仕組みを備えているため、短距離や低速での走行が続くと、特有の現象が起きやすくなるからだ。一般に短距離や低速の移動は車への負担が軽いと考えられがちだが、高度な排気処理技術をともなうディーゼル車においては、排熱の不足がフィルター側に負荷をかけるという逆の状況を生み出す。
信号待ちの多い市街地を走り、目的地に着いたらすぐに車を停める。こうした乗り方を繰り返すと、PMを多孔質セラミックなどのフィルターで漉し取る「DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)」の再生が追いつかなくなることがある。なお、この仕組みはメーカーによって呼び方が異なり、いすゞでは「DPD」、日野では「DPR」と呼ぶが、果たす役割は共通している。
通常は、一定量のPMがたまると排気温度を自動で引き上げ、ためたPMを燃やして取り除く「再生」処理が行われる。しかし、人々のカジュアルな移動実態と、熱を必要とする高精度な排出ガス浄化システムとの兼ね合いの中で、走行条件によってはこの処理が十分に進まない場面が生まれている。
乗用車市場での支持と排出ガス規制

高い熱効率や燃費のよさ、軽油の安さを背景に、国内の乗用車市場ではディーゼル車も一定の支持を集めている。日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によると、2025年のディーゼル乗用車の新車登録台数は11万4099台に上り、乗用車全体(軽自動車を除く)の4.5%を占めた。
かつて大気汚染の要因とみなされたディーゼルがこれほどの存在感を示している背景には、ポスト新長期規制をはじめとする厳しい環境基準をクリアし、排気浄化という社会的責任を技術の力で車体側に織り込んできた自動車産業の歩みがある。
長距離走行や重い荷物を積んでの運転では高い経済性を発揮する一方、クリーンな排気性能を保ち続けるためには、DPFのような高度な排気処理システムが欠かせない。環境対応の高度化にともない、車両を届ける販売現場の役割にも変化が見られるようになった。
従来の「軽油が安く燃費がよい」という表面的な経済性のアピールにとどまらず、顧客の年間走行距離や1回あたりの走行パターン(短距離中心か、高速や幹線道路を使った移動が多いか)をあらかじめ確かめるなど、利用環境への適合を見極める提案が定着し始めている。
では、なぜ短距離走行を繰り返すとDPFの機能が損なわれやすいのか。技術的な仕組みから警告が出た際の対処法、さらに購入後の維持費を含めたライフサイクルコストを踏まえた使い方までを解説する。