ホンダの遊園地「多摩テック」覚えてる? 閉園から17年、観覧車は海外へ! 13万平方メートルの跡地が問いかける、これからの街づくりとは
48年の歴史に幕を下ろしたホンダの遊園地「多摩テック」。閉園から17年、約13万平方メートルの跡地は事業費1.7倍増にともなう大学構想の頓挫や60億円超の泥沼訴訟を経て、今も漂流を続ける。海外展開へとかじを切った運営企業と、出口戦略を欠いたまま残された巨大不動産。その鮮烈な対比から、レジャー撤退戦の深淵を読み解く。
計画撤回が招いた訴訟と利害の対立

計画撤回後、跡地を巡る問題は大学と共同事業者の法的紛争に発展し、自治体を巻き込んだ摩擦も生じた。すでに都市計画変更の手続きを進めていた日野市は、一方的な撤回に強く反発した。同時に三菱商事は、土地代金の立て替え分約46億円を含む計61億9000万円の支払いを求め、明治大学を提訴した。2018年4月、東京地裁は大学に約8億円の支払いを命じ、判決は確定している。
この事態の背景には、関係する主体ごとに、事業を進める速さや見通す期間が異なるという事情がある。商社は投じた資金の早期回収を目指す一方、大学法人は将来の学生数の減少や建設費の負担を見据え、財務の安全性を守ろうとする。自治体や周辺住民は、条例に基づく慎重な手続きを求める。
広大な土地の売買そのものの難しさも、混乱に拍車をかけた。細かく分けて売れば、街づくりの一体感が失われ、資産価値が下がるおそれがある。一括で引き受けるには、自然保護の義務や多額の造成費という重いリスクをともなう。
土地の所有権は、判決確定後の2019年に三菱商事へ移った。日野市は市民まちづくり会議で、緑地の保全と適切な土地利用を促す方針を定めている。しかし、広大な不動産を持つことと、採算の合う事業を実現することはまったく別の問題だ。毎年の固定資産税や草木の維持管理費も、負担としてのしかかり続けている。