なぜ日本の会社員は「昼寝」に罪悪感を抱くのか? 「仮眠をとりたい」が9割! 眠気を我慢するオフィスに何が起きているのか――トヨタも動く「休息」の新展開とは

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約9割の会社員が勤務中の仮眠を望む一方、「サボり」のレッテルを恐れ実践者は約1割。この乖離が、年間15兆円もの経済損失(睡眠負債)を生む土壌となっている。健康経営へのシフトが急務となる中、トヨタ自動車は車室開発の知見を活かした仮眠ツールでスリープテック市場へ参入。「休息=作業改善」という新常識が、日本の働き方をどう変えるのか迫る。

睡眠負債による損失と休めない矛盾

眠いオフィスワーカーのイメージ(画像:写真AC)
眠いオフィスワーカーのイメージ(画像:写真AC)

「昼休みくらい、少し寝たい」。そう思った経験のある会社員は少なくないはずだ。

 トヨタ自動車が2026年9月18日に発表した「お昼寝白書2026~オフィスワーカー編~」によると、勤務中に「休憩や仮眠をとりたい」と感じている人は89.1%に達した。一方、日常的に仮眠をとっている人は10.4%にとどまる。さらに80.9%は、日本社会に「仮眠 = サボり」という空気があると感じている。ところが、勤務中に仮眠している人を実際に「サボっている」とみなす人は7.8%だった。

 休みたい人は多いのに、休めない――この状況は、個人の睡眠不足だけでは説明できない。経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と加盟国で最も短い。RAND研究所の推計では、日本の睡眠不足にともなう経済損失は年間最大約15兆円にも達するという。

 日々の寝不足が借金のように積み重なる「睡眠負債」は、高血圧や糖尿病、うつ病などの発症リスクを高めることが医学的に明らかになっている。出勤していても疲労などで日中の集中力が落ちる「プレゼンティーズム」による企業の損失額は、運動不足や高血圧と比べても圧倒的に大きい。

 深刻な状況を受け、厚生労働省が「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をまとめるなど、国を挙げた睡眠改善の動きも本格化している。

 会社員の昼休みは、本来なら午後に向けて体と頭を整える時間である。しかし日本の職場では、昼食を済ませたらすぐ仕事に戻ることが当然のように扱われてきた。そこには

「働いている時間が長いほど頑張っている」

という価値観が根強い。机に向かっていることが仕事の証拠になりやすく、目を閉じている姿はその反対に映ってしまうのだ。

 午後に眠気が生じること自体は、意思の弱さとは限らない。広島大学大学院の林光緒教授の研究レビュー「昼寝の功罪とパワーナップ」では、15~20分程度の短時間の昼寝は眠気を和らげ、パフォーマンス向上につながる可能性が示されている。反対に、1時間以上の長い昼寝では、目覚めた直後のだるさや夜間睡眠への悪影響が生じやすい。重要なのは昼寝をするか、しないかではなく、

・仕事の途中で適切に休める環境があるかどうか
・健康経営の観点から休息をどう扱うか

である。

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