なぜ大阪のEVバスは「9時間」燃え続けたのか? 運転手3.6万人不足の裏で広がる危機! 消火の常識を変える「あえて燃やし尽くす」選択とは
大阪EVバス炎上と自動運転の課題

2026年7月31日、大阪市内で電気自動車(EV)バスが路上で炎上した。国産EVバスの火災は国内初の事例とみられる。
車両は定期点検中だったため乗客はおらず、負傷者も出なかった。とはいえ上方を走るニュートラムが一時運転を見合わせるなど、周囲への影響は小さくない。出火元は車体前方の屋根に設置されたバッテリー部分とみられ、消防によれば火を消し止めるまでに約9時間を要したという。消火活動の難しさが浮き彫りになった形だ。
日本社会は少子高齢化とタクシー運転手の担い手不足(平均年齢56.8歳)を抱え、地域交通網は崩壊の瀬戸際にある。日本バス協会の試算では2030年にバス運転手が3万6000人不足するとされ、2040年に向けて全国で少なくとも1.3万台の自動運転バスを導入することがインフラ維持に欠かせない。
そうした中で起きた今回の炎上事故は、社会への導入に冷や水を浴びせかねない。MM総研の調査によると、乗車未経験者の5割超が自動運転車の利用に拒否反応を示している。その最大の理由は技術への疑念ではなく、安全性への不安やトラブル発生時に無人状態へどう対応するのかといった、責任の所在が見えないことへの警戒感である。
EVに積まれるリチウムイオン電池は複数のセルからなるため、一部の発火が隣接するセルを次々と加熱する熱暴走がとりわけ危険視される。発熱が化学反応をさらに加速させる連鎖現象であり、最大2.6mに及ぶ炎の噴出や、生じたガスによる爆発的な燃焼を招くリスクを抱えている。
2024年8月には米カリフォルニア州の高速道路で、衝突事故後に炎上した大型EVトラックテスラ・セミの消火にあたり、消防は道路を15時間封鎖し、5万ガロン(約19万L)もの水を使ってようやく火を止めた。燃え上がったEVの消火がいかに困難であるかを物語る事例である。