トーヨータイヤがジャパントラックショー2024に初出展! 小型EVトラック専用タイヤ「NANOENERGY M151 EV」など革新技術を披露〈PR〉
物流業界が抱える数多くの課題 環境対策も必須
トラックに関連する日本最大の展示会「ジャパントラックショー2024」が、2024年5月9日〜5月11日にパシフィコ横浜(横浜市)にて開催された。国内大手のタイヤメーカーであるトーヨータイヤは同イベントに初出展し、今後の物流業界を担う新開発タイヤやソリューションに関する展示を行った。
物流が人々の生活になくてはならないのは、言うまでもない。特に近年ではインターネット通販も普及し、宅配便の需要は増加傾向にある。2016年から2021年の5年間で実に23.1%、約10億個も取扱量が増加したという調査も存在するほどだ。しかし一方で担い手であるドライバーは、10年後には必要人数に対し24万人も不足するという試算も出されている。2024年問題や燃料費の高騰など、物流業界が抱える課題は数多い。
一方で、日本における部門別二酸化炭素排出量の割合(2022年)を見ると、1位が産業部門で34.0%、それに次ぐ2位が運輸部門の18.5%となっており、環境対策のために排出量を抑制する必要にも迫られている。
小型EVトラック専用タイヤ「NANOENERGY M151 EV」の特長
その対策の一つが、運輸の約9割を担うトラックの電気自動車(EV)化だ。国内トラックメーカー各社も、いわゆる2〜3tクラスの小型EVトラックを続々と発表。環境重視の企業を中心に導入が始まっている。
小型トラックが活躍する、拠点から個人宅への「ラストワンマイル」輸送では、1日の走行距離はさほど多くない。ラストワンマイルのEVシフトは、今後一層加速するものと思われる。
そこでトーヨータイヤでは、小型EVトラックに向けた専用タイヤ「NANOENERGY M151 EV」を、2024年4月24日に発表した。
小型EVトラックには、「トルクが太く低速域で加速がよい」「回生ブレーキにより減速力が強い」「バッテリー搭載で車重が重くなる」「一回の充電で走れる距離が少しでも長いほうがよい」「走行音が小さい」「構造が簡単」という、内燃機関のトラックとは異なる特性がある。中でも加速、減速、重量は、いずれもタイヤには過酷な状況を与えるものだ。
これを受けて開発された「M151 EV」では、小型EVトラックに求められる「耐摩耗性能」「トラクション性能」を高い次元で両立。環境にも配慮する小型EVトラック専用リブタイヤとして、「耐摩耗性能」「トラクション性能」「低メンテナンス」「環境貢献」という4つの特長を備えて登場した。
「減りにくいタイヤ」と「路面をよくつかむタイヤ」の性能は相反するが、トーヨータイヤでは、リブタイヤとオールウェザータイヤの性能をひとつのトレッドに配置する「EV専用非対称パターン」を開発し、この難問に対応した。
非対称パターンを用いたのは、リブタイヤとオールウェザータイヤが備える強みがそれぞれ異なるためだ。リブパターンを採用するリブタイヤは、省電費性能・耐偏摩耗性能・静粛性能に優れており、ブロックパターンを採用するオールウェザータイヤは、トラクションとグリップ力に優れている。
この性能を生かし、「M151 EV」では、フロントタイヤは「リブパターン」側を外側に、リアタイヤではホイールを向かい合わせにして「ブロックパターン」を外側に装着。これにより、旋回などで偏摩耗しやすいフロントタイヤ外側の摩耗を抑え、一方のリアタイヤでは外側のブロックパターンにより、高トルクに負けないトラクションをしっかり路面に伝えることができる。
実際に「M151 EV」と、既存のトラック用タイヤ「M125ZB」をeキャンターに装着してテストを行ったところ、摩耗ライフ・ウエットトラクションにおいて「M151 EV」は優れた数値をマーク。二律背反の性能を「EV専用非対称パターン」によって両立させたことがうかがえる。
そして高い耐摩耗性能は、タイヤの寿命にも寄与。タイヤローテーション頻度減少などによる低メンテナンス化にも貢献する。また、ビードワイヤーに再生素材を用いるなど、環境への配慮も行われている。
また、市街地での使用が多い小型トラックでは縁石などにタイヤをヒットすることも少なくないため、「M151 EV」ではサイドウォールを保護する新デザインのサイドプロテクターを採用。未来感を表現したというデザインにより、スタイリッシュな外観を得ることにも成功している。
広くて華やか、ゆったりとした雰囲気のトーヨータイヤブース
そうなると、気になるのが同等の性能を持つ冬用タイヤだ。そこでトーヨータイヤでは「ジャパントラックショー2024」で、小型EVトラック専用スタッドレスタイヤ「NANOENERGY M951 EV」を発表。こちらもeキャンターに装着の上、初展示された。
基本的なコンセプトを「M151 EV」から継承しつつ、「M951 EV」では氷雪路でのトラクション性と耐摩耗性を両立。小型EVトラックが増えても、降雪エリアで使用される小型EVトラックの需要に対応するタイヤとして期待は大きい。
「M151 EV」「M951 EV」ともにタイヤサイズは215/70R17.5の1サイズ展開。「M151 EV」は2024年6月1日から、「M951 EV」は2024年秋ごろに販売が開始される。
このほかブースでは、運輸業界の課題に対してトーヨータイヤが提供する各種ソリューションも紹介。
「安全運行」「環境負荷低減」「コスト削減・コスト平準化」「業務効率化」を柱に、最適なタイヤの提案、メンテナンス業務のアウトソーシングによる物流業務拡大、定額支払いによるコスト平準化、リトレッドタイヤの使用、安全運行をサポートする取り組みなどを提案していた。そのひとつであるリトレッドタイヤは、使用済みタイヤの表面に新しいゴムを貼って再使用できるようにした環境配慮タイヤだ。ブース中央に、リトレッドタイヤの製造過程とともに展示されていた。
ブース奥には、「トーヨータイヤ史上、最高品質を目指す」ことをうたうコンセプトタイヤ「低メンテナンス オールウェザータイヤ」を三菱ふそう スーパーグレートに装着して展示。偏摩耗の発生を抑えるパターンにより、装着タイヤ本数が多い大型トラックのタイヤローテーション頻度の減少とロングライフ化を図っている。低メンテナンス化は、作業の負荷を減らし、ダウンタイムやマンパワーの削減にもつながるものだ。
正面に置かれたステージでは、モータージャーナリストの竹岡圭氏とトーヨータイヤの開発者によるトークショーが行われた。明るいトークは内容も楽しく、たくさんの来場者がブースに詰めかけていた。広く華やかなブースは全体的にゆったりとした雰囲気にあふれ、来場者だけでなくトーヨータイヤのスタッフも終始笑顔だったのが印象的だった。
「ジャパントラックショー2024」初出展ながらも、大きな存在感を示したトーヨータイヤ。物流の2024年問題をはじめとしたトラック業界の課題に対し、今後も高い技術と革新的なアイデア・豊富なソリューションで応えていくに違いない。
[Text:遠藤イヅル Photo:小林岳夫]