物流でフェリーを使うメリットとは 動くホテルで休める=稼げるのワケ 迫る〈PR〉

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コロナで一時は信じがたいほど旅客が減少したフェリーさんふらわあ、それを支えたのが貨物需要だ。とはいえ近年のドライバー不足からくるモーダルシフトの波は停滞気味。しかし今後は2024年に向けた「大波」が来そうだ。

コロナ禍のフェリーでは何が運ばれていた?

鹿児島・志布志港に到着した「さんふらわあ きりしま」。
鹿児島・志布志港に到着した「さんふらわあ きりしま」。

 交通業界に深刻なダメージを与えているコロナ禍の影響は、長距離フェリーにも及んでいる。大阪~別府、神戸~大分、大阪~志布志(鹿児島)の3航路を運営するフェリーさんふらわあでは、2020年4月から5月にかけての緊急事態宣言下で、旅客が前年比で95%減と、にわかに信じられないほど落ち込んだそうだ。

 物流を止めてはいけない、という思いで運航を続けたというが、その間もまさに貨物需要によって支えられた。同社物流営業部の堀内啓介氏によると、自動車の乗船台数ベースでは2020年全体で前年比7%減と、大きく下がってはいないという。

瀬戸内海をゆく神戸~大分航路に就航する「さんふらわあ ぱーる」。年に数回、昼に運航することもある。
瀬戸内海をゆく神戸~大分航路に就航する「さんふらわあ ぱーる」。年に数回、昼に運航することもある。

 とはいえ、やはり緊急事態宣言などもあり、いまも貨物の種類によっては、回復しきっていないものもある。堀内氏に聞いた。

――まず、各航路で運ばれる主な貨物は?

 瀬戸内海を航行する別府・大分の「中航路」は、上り下りとも自動車部品が多いです。複数の自動車メーカーの九州と本州の工場間において、部品が絶えず動いています。その次に多いのが飲料です。ジュース、ビール、また九州ならではのものとして焼酎があります。飲料製品が九州から関西へ運ばれる一方で、関西からは空き瓶が九州へ運ばれます。

船上から望む志布志港。
船上から望む志布志港。

 太平洋を航行する志布志航路は「南航路」と呼んでいますが、こちらは南九州の一大産業である肉や農産物などの一次産品がメインです。大阪からは、その一次産品の飼料やエサとなる冷凍魚などが九州へ運ばれます。また中航路、南航路とも、住宅資材や電線のほか、九州向けの一般消費財もあります。

――コロナの影響が大きかった貨物、小さかった貨物は?

 中航路の自動車部品は、工場の稼働が一時ストップしたこともあり影響が大きかったです。とはいえ幸いにも、多く乗船している自動車メーカーさんが比較的コロナの影響が少なく、持ち直せました。

 一方で南航路の一次産品は、コロナ禍でもスーパーでモノは売れていたので落ち込みは小さく済ました。ただ、飲食店向けの高級な牛肉のほか、飲料も飲食店向けが落ち込み、大阪から運ばれる空の瓶もやや減っています。九州向けの一般消費財も同様です。

 落ち込みが少ないものでは、大阪から鹿児島への飼料なども挙げられます。静岡などで捕れた飼料用の小魚などが冷凍詰めされ、鹿児島へ運ばれてきます。鹿児島県はカンパチやブリなど養殖魚のブランド化が盛んで、当社の船内レストランでも刺身などを提供していますが、これらは、当社船で運ばれた飼料で育ったものかもしれません。

モーダルシフトの流れが停滞? 迫る「2024年問題」

大阪南港で乗船を待つトラック群。
大阪南港で乗船を待つトラック群。

――コロナ以前、フェリーの貨物量は中長期的にどう変化すると予想していましたか?

 運送業の人手不足が深刻化し、長距離のトラックは運行自体がしにくくなり、フェリー利用が増えると予想していました。当社の推測では、関西~九州を往来するトラックでフェリーを利用しているのは3割、まだまだモーダルシフトできると今も思っています。

トラックのトレーラー部分(シャーシ)のみを運び、到着後に現地のトレーラーで輸送する形態も多い。
トラックのトレーラー部分(シャーシ)のみを運び、到着後に現地のトレーラーで輸送する形態も多い。

 ただ現状は、コロナの影響もあってドライバー不足があまり騒がれなくなっています。現在は求人への応募も多いようです。人手が増えた一方で仕事量は減っているため、陸送しても仕事がこなせるようになったことが、フェリーにも影響しています。

――今後はドライバーの環境も変わってくると?

 はい。現在は「荷物量が減っているだけ」といえ、増えてくればきつくなるでしょう。

夜の高速道路ではトラックの増加により一部SA・PAの駐車マスが不足し、ドライバーの休息が難しくなっている課題もある。写真はイメージ。
夜の高速道路ではトラックの増加により一部SA・PAの駐車マスが不足し、ドライバーの休息が難しくなっている課題もある。写真はイメージ。

 いまは荷物の取り合いになっており、運送会社の値下げ競争が始まっています。このまま荷物量が増えても、簡単に運賃は上げられなくなり、業績がさらに落ち込む悪循環も考えられます。そのあたりが問題になってきて、労働条件の折り合いがつかずドライバーの仕事に見切りをつけられるケースも増えるかもしれません。

 そして、2024年4月からは改正労働基準法の施行により、運送業においても残業規制(年960時間まで)が始まります。月あたりの残業時間の目安は80時間になりますから、仕事もさばけなくなってくるのです。このため、フェリーの利用は確実に増えると考えられます。

フェリーを使うドライバーの実態

「さんふらわあ さつま」の車両甲板。
「さんふらわあ さつま」の車両甲板。

――では実際、トラックドライバーはフェリーをどう利用している?

 当社フェリー利用のメインは、九州の運送会社のトラックです。中航路の上り便であれば、関西へ早朝(日~木は6時35分)に到着し、8時から9時の“朝イチ”で関西内の届け先へ到着できるスケジュールです。そのまま関東や中京圏へ向かって、残りの荷物を次の日の市場に流すというパターンもありますが、関西での配送を済ませたあと関西内の倉庫へ向かって荷物を積み、その日に下りのフェリーで九州へ戻る方もいます。

フェリーさんふらわあの3航路。
フェリーさんふらわあの3航路。

 事業者がフェリーを利用するよう定めているケースもありますが、利用するかどうかはドライバーさんに委ねられていることも多いです。この点で、特に週末は早く家に帰りたい思いから、関西での配送が終わったら船を待たずに陸路で帰る方も多いですね。また、倉庫に行ってもそこで待たされてしまい、「乗船するつもりだったけど積み込みが遅れて間に合わなくなった」とキャンセルされて陸路で九州へ戻られることもあります。

「さんふらわあ さつま」の展望風呂。一般用とは別にドライバー専用もある。
「さんふらわあ さつま」の展望風呂。一般用とは別にドライバー専用もある。

 とはいえ、大阪から福岡や大分まで走れば9時間はかかりますから、労働基準のうえでも、1日の運転はそれで終わってしまいます。その点、乗船中は休息時間として扱えるため、ドライバーさんは下船後すぐに動いて、さらに稼ぐこともできるのです。また引越し業など、ドライバーさん自ら積み下ろしも行うと体力的にもきついため、フェリーを積極的に利用させる方針の会社もあります。

「さんふらわあ さつま」の個室ドライバーズルーム。
「さんふらわあ さつま」の個室ドライバーズルーム。

――船内のトラック向け設備にはどのようなものが?

 個室のドライバーズルームのほか、ドライバー専用の展望風呂、洗濯機、また冷蔵トラックのための電源も完備しています。いまは一般のお客様にも個室が大人気ですが、ドライバーズルームも同様で、「いちど個室を使うと相部屋には戻れない」とのお声をいただいています。

船内レストランもコロナ対策で随所に仕切り板などを設置している。
船内レストランもコロナ対策で随所に仕切り板などを設置している。

 ちなみに、フェリーを利用すれば夜中に走らないで済むので、実際のドライバーさんだけでなく運送会社の運行管理者さんからも「安心して寝られる」とのお声をいただきますね。

物流における「フェリーの強み」とは?

「さんふらわあ さつま」共用部の吹き抜け。
「さんふらわあ さつま」共用部の吹き抜け。

――フェリーの強みは? また、コロナ禍で明らかになった課題は?

 お話しした「休息ができる点」などのほかに、「災害に強い」のも特徴です。地震や台風、大雪で道路が寸断したとしても、フェリーならば台風が過ぎ去ればすぐに動き出せます。非常時を想定して選択肢を増やす目的で、陸送とフェリーを使い分ける会社さんも増えました。また、フェリーを利用すれば単純にトラックの走行距離が減りますから、車両の維持管理コストの削減にもつながります。

貨物向け乗船ウェブ予約システム「Answer」イメージ。導入後の利用も好調だ。
貨物向け乗船ウェブ予約システム「Answer」イメージ。導入後の利用も好調だ。

 コロナ禍で明らかになった課題は、やはり感染対策でしょう。個室は増やしてきたものの、それでも足りなくなっており、便よっては一般客室もドライバー用に融通する場合もあるほか、船内修繕で個室をさらに増やすことも検討しています。

 利便性向上の一環として、2020年5月から貨物車の乗船ウェブ予約システム「Answer(アンサー)」も導入しました。運輸業界は未だに電話・FAXの世界なので、本当に遅ればせながらですが、ほかのフェリー会社に先駆けての導入です。現時点で7~8割がウェブ予約に移っており、物流営業部に朝かかってくる電話も明らかに減りましたね。

いまは「弱い」運送側 変化は確実に起こる

大阪南港に停泊する別府航路の「さんふらわあ あいぼり」(手前)と志布志航路の「さんふらわあ きりしま」。
大阪南港に停泊する別府航路の「さんふらわあ あいぼり」(手前)と志布志航路の「さんふらわあ きりしま」。

――今後の展望は?

 運送会社から荷物の情報を集めて新規獲得につなげる一方で、もっと風上の荷主企業にもできる限り近づいていきたいと考えています。

日本初となるLNG燃料のフェリー「さんふらわあ くれない/むらさき」。2022年から順次就航予定。
日本初となるLNG燃料のフェリー「さんふらわあ くれない/むらさき」。2022年から順次就航予定。

 お話したように、運送会社間では荷物の取り合いになってきています。コロナ前にやっと運賃交渉の機運が高まってきていたところ、ここへきてしぼんでいるのです。倉庫へ朝に来てほしいと言われ、実際に積み込めるようになるのは昼――こうした待ち時間を減らす動きもコロナ前にはありましたが、いまは「やりたくないなら、やらなくていい」となるわけです。強気に出られていた運送側が、いまは何としても荷物を維持しようとしています。

 一方で、引越し業などは人手不足で協力会社に仕事を投げていたところもありましたが、いまは自社で運ぶようになっています。そうした自社ドライバーさんは「フェリーを使え」が徹底されており、コロナ禍でも変わっていません。

船内の共用部には業務用の空気清浄機が至るところに設置され、病院並みの衛生環境がつくられている。
船内の共用部には業務用の空気清浄機が至るところに設置され、病院並みの衛生環境がつくられている。

 もうひとつ、荷主にとって大きな変化は、環境対応の動きです。当社は2022年、大阪~別府航路に日本初となるLNG(液化天然ガス)燃料のフェリーを就航させます。将来的に大分航路も船が入れ替わる予定ですが、これも従来の重油燃料の船にはならないでしょう。メーカーなどの荷主が環境対応を強めていけば、運送会社にも当然それを求めていきます。そこはフェリーの強みになるでしょう。

「さんふらわあ ぱーる」船内に掲げられた物流ドライバーへの応援メッセージ。
「さんふらわあ ぱーる」船内に掲げられた物流ドライバーへの応援メッセージ。

※ ※ ※

 フェリーさんふらわあでは、コロナ禍で物流を支えるドライバーへの応援メッセージを船内に掲げているというが、堀内氏がその思いを新たにするのは朝食時だとか。「ドライバーさんは船内で朝ごはんをかなりよく食べられます。昼食もとらずに走り続ける方が多いからです。朝しっかり食べていただき、頑張ってほしいと思います」と話す。

出港後の一杯は格別だ。
出港後の一杯は格別だ。

 ちなみに、フェリーはドライバーどうしの交流の場ともなり、乗組員とドライバーも顔なじみになるとのこと。「観光のお客様から下船後の道を尋ねられることもよくありますが、どうしても乗組員では分からないことがあります。そうしたとき、乗船している常連のドライバーさんに道を教えてもらい、人と人との輪が自然と広がっていくこともあります」(堀内氏)。

 フェリーは働き方や環境への強みを持つだけでなく、何より「楽しい」乗りものなのだ。

●フェリーさんふらわあ公式ページ
https://www.ferry-sunflower.co.jp/

●さんふらわあ物流公式ページ
https://www.sunflower-logistics.co.jp/