電気自動車が「戦後日本」でブームに! でもあえなく衰退、一体なぜ?
世界的潮流として普及への取り組みが加速するEV。その歴史をたどりながら今後の展望を考える。
戦後の日本に訪れた需要の背景
その背景にあったのは、戦後の占領下の日本では、サンフランシスコ講和条約が発効される1952(昭和27)年までではあるものの、ガソリン他の石油製品が統制状態にあったという事実である。すなわち、現代のように誰でも自由に好きなだけ買えるわけではなかった。
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この問題を回避するために登場したのが、自宅や会社で充電が可能な燃料不要の電気自動車だったというわけである。
立川飛行機を母体とする新会社である東京電気自動車が、戦後の民生品需要を期待して1947年から1950年に掛けて発売した「たま電気自動車」は、まさにこうした商品の代表だった。
しかし民需での電気自動車は、朝鮮戦争勃発に伴うバッテリー材料の暴騰、さらにガソリン統制の廃止とともにその存在意義を失うこととなり、数年で撤退を余儀なくされる。
それからしばらく後、1970年代に入ると1973年の第4次中東戦争勃発に伴う第1次オイルショック、1979年のイラン革命に端を発する第2次オイルショックで、それぞれガソリン価格が大暴騰かつ供給不安に直面したことで、再び電気自動車の存在が注目されることとなる。
ここでは世界的に小型かつ安価な電気自動車が試作され、その中の何種かは市販化もされた。しかし結局はガソリン価格が元に戻ると、ともに世間からは忘れ去られることとなった。