購入者わずか1割! マンション住民のほとんどが「EV」所有に踏み切れないワケ
普及に向けた取り組みが世界的に加速しているEV。しかし日本国内ではその購入者の実に9割が戸建て住宅の居住者だ。マンション住民がEVに手を出しづらい現状をあらためて考える。
充電時間の長さが引き起こす諸課題

一般的な自動車の場合、ガソリンが空っぽの状態から満タンにするまで給油に掛かる時間は1分未満。給油口の開閉や給油ノズルのセットを含めても、数分あれば満タンにして走り出せるだろう。
一方、電気自動車ではそうはいかない。
EVの代表である日産のリーフでは、急速充電用専用の充電設備を使ってもフル充電まで40分を要する。家庭用コンセントなどを利用した充電機の場合には、8~16時間も掛かってしまう。
集合住宅でEV普及が進みづらい理由は、まさにこの充電時間の長さにある。
戸建てに住んでいるEVオーナーならば、敷地内の駐車場に充電設備を作れば何も問題ない。外出していない時間に、ゆっくりと充電を行えばいいだけである。
しかし戸建てであっても敷地内に駐車場がなく、離れた場所に駐車場を借りている場合や集合住宅の場合は、個別の駐車スペースに充電設備がない。
新しいマンションなどであれば数台分の充電スペースが設置されているケースもあるが、充電時間が長いため、なかなかスペースが空かず、住民間での争奪戦になってしまうこともある。
EV充電設備の設置は、1台あたり10万円を超えることもあり、少なくとも現在のEV普及率では、充電設備を全戸分用意するのは困難と言える。