滋賀県内でも賛否の嵐? 全国初の「交通税」導入は疲弊する公共交通の起爆剤となりえるか
滋賀県は、全国初の「交通税」導入に向けて本格的な議論を始めた。地域を走るバス・鉄道の維持費用を税金で賄おうというもの。しかし県内でも賛否が分かれている。
今後のヒントは富山市にあり?
滋賀県で交通税の導入が実現すれば、各地で存続が危ぶまれているローカル線の維持についても新たな段階に入るだろう。JR西日本では4月に初めて不採算路線の収支を公表。単独での存続は困難として、自治体への支援を求めている。
今後はどうなるか。国有化による存続は現実的でないため、上下分離方式での維持に落ち着くだろう。そうなると、沿線住民に負担を求める流れは自然になる。住民に増税を納得してもらうためには、利用促進策が欠かせない。
富山市では2006(平成18)年から、税金を負担してJR高山本線の列車増便を行い、乗客減少の歯止めに成功している。この背景には、駐車場が整備された沿線各駅に自動車を駐車し、鉄道を使って目的地に移動する――という環境にしたことがある。富山市では「パーク・アンド・ライド駐車場」と呼ばれる、この駐車場は無料となっている。
つまり増税するには、自動車に比べて便利に利用できる環境を整えることが不可欠なのだ。交通税は今後の路線維持のもっとも重要なキーワードとなるだろう。その動向から目が離せない。