スズキ初のEVが日本の「EV戦略」を変える? インド発eビターラ、トヨタ協業と1.2兆円投資の勝算とは
スズキ初のEV「eビターラ」が、年400万台体制のインド生産網を背景にグローバル市場へ進出する。航続500km超、LFP採用、価格は500万円台。トヨタとの共同開発により、部材供給や市場戦略を最適化。新興国発EVが示す“産業戦略単位”としての可能性に迫る。
1兆2000億円投資の成長戦略

インドは、人口の急増と中間層の拡大により、急速に成長している。政府は2030年までにEV普及率30%を目標に掲げ、電動化政策を推進中だ。2024年の四輪車販売台数は522万台に達し、過去最高を4年連続で更新した。日本を3年連続で上回り、中国、米国に次ぐ世界第3位の市場として定着している。近年では、グローバル市場への輸出拠点としても重要な役割を担い、スズキやホンダは日本向け完成車の輸出を増加させている。
スズキのインド子会社、マルチ・スズキは国内最大手で、現在の市場シェア41%を2030年までに50%へ引き上げる計画を掲げている。2030年度までに、
・生産能力の増強
・カーボンニュートラル推進
・品質改善
を目的に総額1兆2000億円を投資し、これはスズキ全社の投資額の約6割にあたる。インドの5工場で、2030年度には年間400万台の生産体制を整える見込みだ。
スズキは2030年度のグローバル四輪車販売台数を、2024年度比で約3割増の420万台に設定した。インド市場向けは254万台を目標とし、中東やアフリカなどへの完成車輸出も拡大している。インドは単一市場にとどまらず、グローバル戦略の拠点としての潜在力を秘めている。スズキの新型EV「eビターラ」は、その先駆けとして位置づけられている。