なぜ船は水中で「泡」を吹くのか? 10%燃費改善を支える“空気の戦略”とは

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ペンギンやクモの生態に学んだ「空気潤滑システム」が、海運の省エネ革新を後押しする。燃費最大10%改善、CO2数t削減の効果が見込まれ、既存船への後付けも可能。三菱重工や日本郵船も実用化に踏み出した。環境対応と経済性を両立する“泡の技術”が、次世代の航行性能を塗り替える。

空気層が生む摩擦抵抗の低減効果

船(画像:Pexels)
船(画像:Pexels)

 船が泡を吐きながら航行しているのを見たことがあるだろうか。船のスクリュープロペラが回転する際に周囲の空気を巻き込み撹拌していると考えがちだ。しかし、泡はプロペラの後方だけでなく、船体の各所からも上がっている。これは一体どういうことだろうか。

 実は、船底に空気の層を作ることで、水面との摩擦抵抗を減らし、船の前進を助ける仕組みである。空気の層は潤滑油のような役割を果たしているのだ。

 船上のコンプレッサーが船底の小さな穴から空気を送り込み、薄い泡の膜を形成する。これにより船体と周囲の水の摩擦が軽減される。ホバークラフトが空気を吹き出しながら進むイメージに近い。ただし、ホバークラフトが車両を浮かせるのに対し、この気泡膜はあくまで潤滑層であり、船体を空中に浮かせるわけではない。

 この技術によりエネルギーの無駄を最小限に抑え、燃費効率は約10%向上するとされている。大型コンテナ船は1日に100tから250tの燃料を消費するため、これによって数tのCO2排出を削減できる。コンテナ船やタンカー、バルクキャリアなどの大型船舶の運航費用は莫大であり、省エネ効果は極めて大きい。

 従来は特殊塗料で船底をコーティングし、フジツボや藻類の付着を防いで摩擦抵抗を減らしていた。さらに空気潤滑技術と組み合わせることで、効果が一層高まる。

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