空飛ぶ広告「飛行船」 最近すっかり見かけなくなったワケ
昭和時代はよく見た飛行船とアドバルーン。いったいなぜ姿を消したのか。
中国では飛行船に熱視線?
ただ、飛行船は近年になって、需要が再び高まる気配がある。速度は遅いが大容量の荷物を積載できる飛行船を「輸送手段」として利用する――というものだ。
例えばEC最大手のアマゾンは2017年、飛行船を利用した流通システムを計画していることが報じられている。これは、巨大な飛行船を利用した「空中倉庫」が移動し、ドローンによって地上に届けるというものだ。もちろん、空に浮かぶ倉庫を広告として利用することも検討されている(『FACTA』2017年1月20日号)。
また、中国でも飛行船の新たな開発が行われている。
2021年には、中国国有航空機メーカーの中国航空工業集団傘下である航空工業特殊飛行器研究所が有人飛行船「AS700」を開発。同研究所の張氏は、
「飛行船は遊覧や物理探査、貨物輸送、緊急救助など幅広い用途に応用でき、今後10年間で市場の需要は100隻近くに達するだろう」
と述べている(『NNAアジア経済情報』2021年3月5日付)。
どうやら、地上の渋滞を避けて大容量の貨物を輸送する手段として、飛行船はまだ可能性があるようだ。飛行船が日本の空に再び浮かぶ日は来るのか――。なんとも夢のある話ではないか。