日本企業はなぜ米国依存を脱却できないのか? 「トランプ関税」で揺れる自動車輸出5.8兆円、海外拒否する国民性の代償
日本車シェア拡大の余地

日本には海外市場で活用できる重要な資産がある。それが環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)だ。米国が離脱し、崩壊の危機に直面したが、日本が主導して枠組みを維持した。さらに、地域的な包括的経済連携(RCEP)にも参加し、自由貿易推進の中心的存在となっている。
CPTPPは自由貿易を目的とした協定だ。車の部品でも完成品でも、加盟国のサプライチェーンを活用したスキームを構築すれば、輸出ダメージを軽減できる。
なお、2023年の米国以外への自動車輸出は、欧州連合(EU)が2兆376億円、アジアが2兆4142億円、ASEANが7389億円、中東が1兆8918億円となっている。
ASEAN諸国では中国メーカーの存在感が増しているが、日本車の強さは圧倒的だ。インドネシアでは日本車のシェアが9割を超えるともいわれており、成長余地は小さい。
一方、CPTPP加盟国であるカナダやメキシコでは、日本車が約4割のシェアを持ち、人気は高い。まだ市場を拡大できる余地がある。トランプ関税によりカナダやメキシコで製造した車を米国に輸出すると関税がかかるため、これらの市場に直接回す戦略が有効だ。
ペルーもCPTPP加盟国で、約4割の日本車シェアを誇る。ここへの輸出強化も有望だ。こうした施策で、カナダ・メキシコ工場の稼働率低下によるダメージを緩和できる。
英国市場も注目に値する。欧米勢が強いが、日本車の浸透も進んでいる。2023年の新車登録ランキングで日産「キャシュカイ」が第2位に入った。日産工場の閉鎖問題はあるものの、日本メーカーが戦略的に臨めば英国市場攻略は可能だと示している。
ただし、CPTPPだけにこだわる必要はない。アフリカ市場も有望だ。日本車は悪路でも壊れにくい信頼性から中古車を含めて総じて高い評価を得ている。
国連貿易開発会議(UNCTAD)が2025年2月に発表した「2024年アフリカ経済開発報告書」によると、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が完全施行されれば、3兆4000億米ドル規模の市場創出が見込まれる。
中国は以前から戦略的にアフリカ諸国との関係を強化している。日本メーカーと政府も、この市場に注力すべきだろう。