あなたはロング派?クロス派? 永遠の「鉄道シート」論争、通勤・近郊型にふさわしいのはどちらだ

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JR九州の福岡都市圏では、ドアに近い転換クロスシートを撤去したことが話題に。理由は、通勤・通学時間帯でドア付近が混雑しているためだという。結局、ロングシート・クロスシート論争に決着はつくのか。

双方のメリット・デメリット

ロングシートとクロスシート(画像:写真AC)
ロングシートとクロスシート(画像:写真AC)

 鉄道ファンの間では、特別料金を徴収しない列車は

「ロングシートのほうがいいのか」
「クロスシートのほうがいいのか」

ということがときどき論争になる。

 ロングシートとは、JR東日本の山手線などにある、窓側を背にして通路側に足を向けて座るタイプの座席だ。このタイプの座席は、立って乗っていてもかまわない程度の乗車時間の列車に使われることが多い。

 一方、クロスシートとは、JR西日本の新快速などにある、進行方向に向けて座ることができ、乗客が窓側と直角になっているような車両だ。JR西日本の新快速に使用されている車両は、特に転換クロスシートと呼ばれ、長距離を移動する人からの支持が高い。そのぶん、立ち席の乗客を詰め込むことができない。

 JR東日本でも、上野東京ラインなどで使用している車両の一部には、部分的に向かい合わせのクロスシートとロングシートを使用している車両があり、セミクロスシートと呼ばれる。

 鉄道各社でも、意外な路線でクロスシートが使われていたり、またその逆もあったりするので、ファンの間ではどちらはいいかがよく論争になっている。その両方のいいとこ取りをする座席はないのか、というと実はある。

首都圏で広がるロング・クロス転換シート

近鉄5800系L/Cカーの座席(画像:写真AC)
近鉄5800系L/Cカーの座席(画像:写真AC)

 首都圏の一部鉄道では、ロングシートとクロスシートを列車の性質によって転換させることができる車両がある。デュアルシート、もしくはL/Cカーと呼ばれるものだ。

 普通の列車として運行する際には窓側を背にしてロングシートと同様にし、料金徴収の座席指定列車とする際には進行方向に向けてクロスシートと同様にする。

 もともとは関西の近鉄で導入されたものだが、関東では東武東上線に導入され、以降広まっていった。東武東上線の「TJライナー」以降、京王の「京王ライナー」など、各種ライナー列車ではクロスシートとして運用され、その合間にロングシートとして普通の列車でも使用されている。

 ただ、この座席は一般のロングシートに比べて動かす部分が多くなり、コスト高になりやすいデメリットがある。またロングシートにしたときに、普通の車両ならば7人が座れるところ、6人しか座れない問題も発生する。

 一方で、ライナー列車専用の車両を設けるほどではないということもある。

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