ロシア・ベラルーシ航空大手で新たに制裁違反発覚! そもそも制裁に効果はあるのか

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アメリカ商務省は14日、輸出管理規則(EAR)に違反している可能性のあるロシアとベラルーシの航空機10機を追加で公表した。対象リストに掲載されることにより、どのような制限を受けるのか。

違反の可能性のある航空機とは

ロシアのプーチン大統領(画像:pixabay)
ロシアのプーチン大統領(画像:pixabay)

 アメリカ国内で製造された航空機、もしくは国外で製造された航空機で、アメリカで製造された輸出管理規制の対象となる部品を25%以上使用している航空機が、ロシアあるいはベラルーシ向けである場合には、ライセンスが必要となる。つまり、リストに掲載された機体は、ライセンスを受けていないということだ。

 元々はロシアのみに課せられていた規則であるが、4月8日以降、ベラルーシまたはベラルーシ国民により登録、所有、管理されている航空機も、同様にライセンスが必要になったのである。併せて、チャーターあるいはリースされている機体も対象となっている。もちろん、ロシアおよびベラルーシを離れることを望むリース機などは、BISに許可を受けてリストから除外されることにより国外への退去が可能となる。

 BISは、EARに違反している可能性のある機体に対し、輸出や譲渡、メンテナンスなど、あらゆる形態のサービスを提供するにはライセンスが必要であるとしている。ライセンスを所持していないことを明確にするためにリストを公表しているのだ。

 リストに公表されている機体に何かしらのサービスを、ベラルーシやロシア国内のみならずあらゆる場所で実施した場合、EARに違反するリスクがあると警告を発している。EARに違反した場合、懲役、罰金、輸出特権の喪失などの措置が、BISにより執行される可能性がある。

制裁の効果を疑問視する意見も

ベラルーシ(画像:(C)Google)
ベラルーシ(画像:(C)Google)

 ロシアやベラルーシへの制裁に加わっている国は、リストに記載されている機体に対し、何らかのサービスを提供することはないと思われる。そもそも、ロシアならびにベラルーシの航空機は、アメリカのみならず、カナダ、欧州連合(EU)領内における飛行を禁止されており、これらの国には離着陸することすらできない。しかしながら、制裁に加わっていない、いわゆる第三国経由による部品などの調達は可能であり、効果を疑問視する声もある。

 これに対し、国際経済の専門家は

「そもそも制裁は侵攻を終わらせることを目的としたものではない」

としている。侵攻を収束に向かわせる間接的なメカニズムを期待しているというのだ。

 大統領親族や政府要人、あるいはオリガルヒ(ソ連崩壊後の新興財閥)への渡航禁止や資産凍結処置は、大統領の政策変更の圧力になることを期待しているという。また、EARのような輸出制限は、軍事インフラを維持するための重要な製品の供給を制限し、戦争能力をそぐことを目標としているとのことである。

 さらに、その専門家は

「戦争の行方を左右するファクターは制裁だけではない」

と付け加えている。

 例えば、ヨーロッパにおけるロシアからの天然ガス輸入問題をはじめ、アフリカ諸国における食糧問題など、さまざまな要素がからむという。食糧問題に関していえば、実はロシアとウクライナは世界の小麦輸出の約3割を占めている。貿易がストップすると、飢餓などの食糧安全保障につながる危険性があると危惧している。

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