もはや単なる“飲み物置き”じゃない! 「ドリンクホルダー」がここまで急進化した根本理由

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車載ドリンクホルダーが、いまや33億ドル市場へと成長中だ。形状や機能、素材の進化に加え、スマホ充電や温度管理まで対応。小さな装備が、世界の車内体験を静かに塗り替えている。

歴史と進化

コンビニコーヒーが置かれているドリンクホルダー(画像:写真AC)
コンビニコーヒーが置かれているドリンクホルダー(画像:写真AC)

 車内で飲み物を楽しむ際に欠かせないのがドリンクホルダーだ。一見すると単純な装備に思えるかもしれないが、その歴史をたどると、時代の変化やドライバーのニーズを捉えながら、驚くほどの進化と多様化を遂げてきたことがわかる。

 ドリンクホルダーの起源は1950年代の米国にある。ドライブインレストランやドライブインシアターが広まり、車内で飲み物を楽しむ文化が生まれたことがきっかけだ。最初は、ダッシュボードやグローブボックスに浅いくぼみをつくる程度だった。その後、専用設計の後付けホルダーが登場し、1980年代には自動車メーカーによる標準装備へと進化する。とくに米国市場では大きな支持を得て、他メーカーにも広がった。1990年代には、世界中の車に標準装備として定着した。

 日本での起源は1977(昭和52)年。カーメイト社が後付けドリンクホルダー「ZAX14」を販売したのが始まりとされている。当時、急速に広がっていた自動販売機文化と相まって、この製品はヒットした。多くのドライバーに支持された。

 近年では、ドリンクホルダーはさらに進化している。より使いやすく、便利な機能を備えるようになった。本稿では、自動車のドリンクホルダーがここまで多様化し、進化を続ける背景と、未来に向けた可能性を探っていく。

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