「もう怒りしかない」なぜ宅配の荷物は投げられたのか? ネットで話題! 置き配が“投げ配”に変わる衝撃、50億個の物流を支える構造と歪みとは
置き配が市民権を得る一方で、“投げ配”の実態がSNSで波紋を広げている。背景には、年間50億個超の宅配物量と評価制度に縛られた現場の疲弊がある。丁寧さが「コスト」と見なされる時代に、物流の当たり前を問い直す必要がある。
配達品質を支える制度設計

ここで問うべきは、誰のための効率化なのかという根源的な問いである。配達員に対して「もっと丁寧に配れ」と訴えることはできる。だが、それが現実的な改善につながるかどうかは別の話だ。
必要なのは、配送品質を担保するための制度設計そのものである。例えば、
・配達員に一定の裁量と余裕を持たせる仕組み
・置き配に対する品質保証制度の導入
・荷物を丁寧に扱うことにインセンティブを与える設計
こうした発想の転換がなければ、配達品質などという言葉は空虚な理想に終わる。
今後、無人配送やドローン配送などが進化すれば、さらに人の手を介さない仕組みが拡大していくだろう。だが、人が関わる限り、そこには人間の行動を左右する環境や動機が不可欠だ。そこを設計し直さなければ、たとえテクノロジーが進化しても、現場の本質的な問題は何も変わらない。